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『ザ・ヒル』によると、上院情報委員会のマーク・ワーナー委員長(民主党議員)は公聴会で、「情報委員会は通常、公聴会を開かないが、ルビオ副委員長(共和党議員)と私は、この話をアメリカ国民に伝える必要があると考えた」と証言した。
ルビオ副委員長は、「この委員会のメンバーは、政府が保有する最も機密性の高い情報とその成果物の両方を定期的にチェックしている」と述べ「中国の米国に対する影響力は未来の脅威ではなく、すでに到来している」と証言した。
FBI長官のクリストファー・レイは、4月に上院情報委員会で、FBIは「10時間ごと」に中国に関する新たな捜査を開始しており、中国に関連した2000件以上の事件を捜査していると証言した。
国家防諜安全保障センター(NCSC)の元所長で、エバニナグループの創設者であり現CEOであるウィリアム・エバニナ氏は4日、2020年だけで中国共産党が米国の知的財産や企業秘密を3000億ドル(約33兆円)から6000億ドル(約66兆円)ぶん盗んだと証言した。そして、今回の公聴会のテーマは「実存的な脅威であり、わが国がこれまでに直面したことのない、最も複雑で悪質な、攻撃的かつ戦略的な脅威である」と強調した。
委員会のリーダーたちは、中国共産党が米国の企業や政策に影響を与えることができるのは、米国企業が中国市場へのアクセスを望んでいるためであり、中国共産党が米国にいる中国人学生や研究者に圧力をかけてデータや研究を盗む傾向があるためだと指摘した。
ルビオ副委員長は、「今日、中国はすでに、人類の歴史上最大の国から国への不法な富の移転を行っている。」とした上で、「今日、中国共産党は、アメリカ人が何を言うか、何を聞くか、何を読むか、何を見るかについて、過去のどの外国政府よりもコントロールしている」と強調した。
ワーナー委員長は、委員会が証言を求めた何人かの証人は、発言することによる影響を懸念して、証言を拒否したことを指摘した。なお、情報委員会メンバーは、中国の行動に対する懸念は、中国人や中国系アメリカ人ではなく、中国政府にあることを強く強調し、中国共産党政府の行動に立ち向かうために行動を起こす必要性を訴えた。
「中国共産党の無数の諜報活動、技術獲得、中国以外の国への影響力の行使に対する防御を強化するためのより良い方法を見つけ、特に技術面での競争力を維持するための手段を講じなければならない。この必要性に気付く時が来た。」とワーナー委員長は強調した。
米『エポックタイムズ』によると、元国家安全保障補佐官のマシュー・ポッティンジャー氏は4日の公聴会で、「米国は、中国の戦略の最も脅威となる要素の一つについて十分に理解していない。それは、中国政府が自らの野望のために、米国の政治家、ビジネスマン、科学者などのリーダーを含む米国の人々に影響を与え、強要しようとする方法についてだ。」と述べた。
ポッティンジャーは、米国の元外交官ジョージ・F・ケナンの言葉を引用して、「政権が戦略を実現するために行っているさまざまな手法は、政治的戦争の現れである」と述べた。第二次世界大戦後、ソ連に対抗するためにソ連の「封じ込め」政策を打ち出したことで知られるケナンは、1948年に発表した覚書の中で「政治的戦争」という言葉を使い、「国家の目的を達成するために、戦争によらず、国家が指揮できるあらゆる手段を用いること」と表現している。「中国はそれをやっているのだ」とポッティンジャーは述べた。
ポッティンジャーによれば、中国の政治的戦争にはいくつかの要素があり、その中でも最も重要なのは、中国共産党の統一戦線工作部が率いる「統一戦線」工作であるという。「統一戦線は、外交を行う代わりに、海外のエリートや彼らが運営する組織に焦点を当てて、海外の政府関係者だけでなく、民間人に関する情報を収集し、影響を与える活動を行っている」。
また、中国政権は、米国の市民団体や政治団体に浸透するための努力の一環として、草の根レベルの統一戦線活動を展開している。米国務省は2020年10月、統一戦線工作部が管理するワシントンの「中国の平和的統一のための全国協会」を、米国に対し「悪意ある影響」を及ぼしている外国使節団として指定した。
国家防諜安全保障センター(NCSC)の元所長ウィリアム・エバニナ氏は、「中国の指導者である習近平は、地政学的、軍事的、経済的に世界のリーダーになるという一つの目標を持っている」と証言し、「習近平は、中国の国家安全部、人民解放軍、統一戦線工作部とともに、包括的かつアメリカ全土を対象としたアプローチを推進し、米国のあらゆる場所に投資し、利用し、潜入し、影響を与え、盗みを働いている」と述べた。
ポッティンジャー氏によると、中国の政治的戦争に最近加わったのは、「米国のソーシャルメディア・プラットフォームの悪用」だという。近年、中国の外交官や中国の国営メディアは、ツイッターやフェイスブックなどを使って、政権のプロパガンダや偽情報を世界中の人々に発信しており、ネット上のプロパガンダキャンペーンは、民主主義に対する人々の信頼を弱め、社会的緊張を悪化させ、政情不安を生み出すことのいずれかを目的としていることが多いという。
また、中国政権は、米国の成人とその子供のデータを収集することを、「中国政府の政治的戦争のもとではフェアゲーム」であると考えている、とポッティンジャーは述べている。「中国共産党は現在、世界中の何百万人もの外国人市民の情報を集めており、その情報を使って影響力を行使し、攻めるポイントを定め、脅迫し、報酬を与え、恐喝し、おだて、屈辱を与え、最終的には分裂させ、征服しようとしている」と指摘した。
ポッティンジャーは、中国の政治的戦争に対応するため、米国の投資家が中国の防衛・ハイテク企業59社への投資を禁止する現行のブラックリストの拡大、外国代理人登録法の強化、米国のソーシャルメディア企業との緊密な連携による中国の影響力行使活動の顕在化など、いくつかの提言を米政権に行っている。
ルビオ副委員長は、「もし私たちが目を覚まさず、この問題に取り組まなければ、私たちの子供たちが受け継ぐアメリカは、近い将来、大量殺戮を行う共産主義者の専制君主的な説教のみ、聞いたり話したりすることを許される国になってしまうかもしれない」と語った。
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米ニュースサイト「アクシオス」とコンサルティング会社「モメンティブ」による新しい世論調査によると、アメリカ人の57%は、資本主義に対して肯定的な見方をしている一方で、36%は否定的な見方をしていると回答した。しかし、若年層の間では、資本主義に対し否定派が過半数になったことが判明した。
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『ザ・ヒル』と
『ジャーナル・ポスト』によると、アクシオスとモメンティブは6月11日から15日にかけて2,309人の成人の全国サンプルを対象に世論調査を実施した。調査では、18~24歳の54%が資本主義に対して否定的な見方をしていると答えたのに対し、肯定的な見方は42%にとどまった。
資本主義に対する肯定的な見方は、18歳から34歳までのより広い若者層の間でもその数が減少している。世論調査によると、資本主義に肯定的な人は49%、否定的な人は46%だった。しかし、2年前の調査では、58%が資本主義を肯定的に見ていると答え、38%が否定的に見ていると答えていた。また、資本主義を支持している政党である共和党の中でも、資本主義を好意的にとらえている若者は、2019年の81%から最新の世論調査では66%に減少している。回答者全体では、57%が資本主義を肯定的にとらえていると回答し、36%が否定的にとらえていると回答している。
今回の調査では、社会主義に対する見方の変化も確認された。回答者全体では、社会主義に対して肯定的な見方をしていると答えた人は41%、否定的な見方をしていると答えた人は54%だった。若年成人は51%が社会主義に対して肯定的な見方をしていると答え、2019年の55%から減少した。
また、全回答者のうち58%が、「成長と繁栄を妨げる自由市場の過剰規制」よりも「富裕層を優遇する経済システムの不公平さ」のほうが大きな問題だと回答した。また、「50年前と比較して、経済システムとしての資本主義の適切性の証拠は増えたと思いますか、あるいは減ったと思いますか、それとも同じくらいだと思いますか」という質問に対し、増えたと答えた人はわずか27%、減ったと答えた人は41%だった。
『ザ・ヒル』は、社会主義と資本主義をめぐる議論は政治の世界にも浸透していると伝えている。共和党員は民主党を過激な社会主義だと攻撃し、民主党員は、資本主義を批判することで共和党員や一部の穏健派民主党員を攻撃している。
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