トランプ大統領の虚言癖;自動車産業に関わる発言の事実検証【米メディア】(2020/09/25)
9月24日付
『FactCheck.org』:「トランプ大統領、自動車産業に関して嘘の発表」
ドナルド・トランプ大統領は常日頃から、事実に基づかない、紛らわしいコメントを発信している。
今回、自動車産業に関わって発言された事項について真偽の程を検証したところ、嘘や誤解が多く含まれていることが判明した。
(1) 日本車工場新設
「9月19日のノースカロライナ州及び9月21日のオハイオ州での支持者集会で、トランプ大統領は、安倍晋三首相がミシガン州に日本車工場を新設するよう5社に促すことを約し、翌日には確定したと発言。...
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9月24日付
『FactCheck.org』:「トランプ大統領、自動車産業に関して嘘の発表」
ドナルド・トランプ大統領は常日頃から、事実に基づかない、紛らわしいコメントを発信している。
今回、自動車産業に関わって発言された事項について真偽の程を検証したところ、嘘や誤解が多く含まれていることが判明した。
(1) 日本車工場新設
「9月19日のノースカロライナ州及び9月21日のオハイオ州での支持者集会で、トランプ大統領は、安倍晋三首相がミシガン州に日本車工場を新設するよう5社に促すことを約し、翌日には確定したと発言。また、同州及びオハイオ州には直近40年間、自動車工場は建設されていないとも付言。」
日本車メーカーのどの5社も、生産工場新設計画を決定・発表していないし、また、未だ実現もしていない。
ただ、自動車生産工場ではないが、日本車メーカーは以前、ミシガン州に以下の投資をする旨発表している。
・ホンダ:ゼネラルモーターズ(GM)との合同事業体として、GMの同州工場を拡張して、水素電池生産工程を導入する旨、2013年7月に公表。総費用8,500万ドル(約89億円)で約100人の雇用創出。
・ルノー/日産/三菱:電気自動車用充電ステーションを2つ設置する旨、2017年6月に発表。また、4,100万ドル(約43億円)をかけて北米技術開発センターを拡張することを決定。85人の新規雇用創出。
・トヨタ:自動運転車のテスト施設を建設すると2018年5月に公表。
・スバル:技術開発研究所を4,800万ドル(約50億円)かけて新設する旨、2018年8月に発表。100人の新規雇用創出。
一方、米GMが2006年にミシガン州に軽自動車生産工場を新設、また、米フィアットクライスラーが2005年、オハイオ州に同じく軽自動車工場を完成させており、直近40年間で、自動車工場が全く建設されていないことはない。
(2) 他国の自動車メーカー
「2019年6月、トランプ大統領は、欧州自動車メーカーがここ数十年、米国内にただのひとつも工場を新設していないと発言。」
スウェーデンのボルボが2015年9月、また、ドイツのメルセデスベンツが2016年7月に、それぞれサウスカロライナ州に生産工場を新設している。
更に、同大統領が2017年初に就任して以降も、トヨタ・マツダ合同事業体が2018年1月にアラバマ州に生産工場を新設すると発表、また、フィアットクライスラーも2019年2月、ミシガン州に新工場建設計画を発表している。
(3) オバマ政権との比較
「事あるごとに、オバマ政権時代を上回っていると発言。自動車産業においても同様で、生産・販売とも記録更新と主張。」
全米で比較すると(公平を期すため、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題に伴う景気後退時期を除くと)、トランプ政権下の2017年1月~2020年2月の37ヵ月間の自動車産業就業者数は+4万9,300人(+5.2%)の増加だが、オバマ政権下の同期間では、+9万9,600人(+11.6%)増加。
ミシガン州だけでみてみると、2017年1月以来、同就業者数は▼2,400人減少。これをCOVID-19感染影響のある今年8月まで延ばしてみると、▼1万8,400人もの減少(失業)となる。
一方、全米の自動車生産台数は、オバマ政権下の2016年は1,220万台と2000年以来の高い実績を上げたが、2017年以降毎年減少していて、(COVID-19前の)2019年実績は1,088万台と▼11%減少している。
また、総販売台数も、2016年は1,755万台と記録を更新したが、2019年は1,705万台と▼3%減少しており、記録更新はトランプ政権下の話ではない。
(注)ファクトチェック機関:情報の正確性・妥当性を検証する、外部の独立したファクトチェック機関。公表された情報の正確性・妥当性について、独自指標を使って視覚的に判定することが多い。ペンシルベニア大学が運営するFactCheck.org(2003年設立)、『ワシントン・ポスト』紙がサイト内で運営するファクトチェック企画のFact Checker(2007年設立)、『タンパベイ・タイムズ』紙が運営するポリティファクト(2007年設立)などが挙げられる。
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トランプ大統領、またも自己所有のリゾートで夏季休暇【米・英・ロシアメディア】(2017/08/05)
トランプ大統領は就任以来、外国要人招待はもとより自身の休暇にも、しばしば自己所有の別荘等を利用してきたことから、税金の公私混同使用だと問題提起されてきた。しかし、初めての夏季休暇も、ニュージャージー州のトランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブで過ごすことになり、またしても非難の的になっている。特にメディアが問題視しているのは、同大統領自身が、オバマ前大統領が休暇を取る度毎に、税金の無駄遣いだとか、重要事項より己の休暇を優先している等、何度もツイッターで批判してきたにも拘らず、自身が大統領になった途端、同前大統領より更に頻繁に休暇を取得しているとの事実である。
8月3日付米
『USAトゥデイ』:「トランプ大統領、自己所有のリゾート施設があるベッドミンスターで夏季休暇」
トランプ大統領はこれまで、就任以来ほぼ毎週の頻度で、フロリダ州・ヴァージニア州・ニュージャージー州にある自己所有のリゾート施設を利用してきたことで、批判を浴びてきた。しかし、同大統領はまたしても、8月4日からの17日間の夏季休暇をベッドミンスター(ニュージャージー州)のトランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブで過ごすとしている。...
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8月3日付米
『USAトゥデイ』:「トランプ大統領、自己所有のリゾート施設があるベッドミンスターで夏季休暇」
トランプ大統領はこれまで、就任以来ほぼ毎週の頻度で、フロリダ州・ヴァージニア州・ニュージャージー州にある自己所有のリゾート施設を利用してきたことで、批判を浴びてきた。しかし、同大統領はまたしても、8月4日からの17日間の夏季休暇をベッドミンスター(ニュージャージー州)のトランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブで過ごすとしている。
2014年8月、トランプ大統領が民間人であったとき、オバマ大統領(当時)がゴルフ等で休暇を楽しんでいる間に、イスラム過激派集団ISISが人質にしたジャーナリストを斬首していると批判のツイートをしている。また、トランプ氏はかつて、大統領が休暇を取得することを軽蔑するとも述べていた。
ただ、ホワイトハウスのリンゼイ・ウォルターズ報道官は、ホワイトハウスの西棟の空調入れ替え工事に2週間余りかかるためにホワイトハウスで執務できないこと、また、大統領は滞在先で“仕事をしながらの休暇”となると擁護している。
一方、歴史学者のテヴィ・トロイ氏は、大変なストレスを抱えることになる米大統領には十分な休暇が必要だと説く。一例を挙げれば、ジェームズ・ポーク第11代大統領(1845~49年)は、長期休暇を全く取らなかったが、大統領退任後間もなく死去しているとする(編注;4年の在任中に取得した休暇は僅か計37日。退任して3ヵ月後に逝去)。
8月4日付英
『ザ・テレグラフ』紙(
『AP通信』配信):「ドナルド・トランプ大統領、かつて自身が投げつけた“休暇を取るな”との批判を忘れてゴルフ・クラブで夏季休暇」
ウォルターズ報道官は8月3日、ホワイトハウスの空調工事のため、大統領だけでなくスタッフは皆ホワイトハウスで執務できないとした上で、大統領は滞在先でも仕事は続けると弁護した。
しかし、トランプ大統領自身、2004年に発行した自著の中で、休暇を取るなら、その仕事は向いていないので転職すべきだ等と語っているし、また、2012年にも同様のツイートをしている。
にも拘らず、
『AP通信』の調査では、トランプ大統領在任期間の28週間のうち、13回もの週末をホワイトハウスから離れ、そのほとんどを自己所有のリゾートのあるパーム・ビーチ(フロリダ州)かベッドミンスターで過ごしている。
更に、2011年8月には、オバマ大統領(当時)が10日間の休暇で不在とは何たる倫理観か、と非難するツイートをし、また、昨年も、もし大統領に就任したら、ゴルフに割く時間など取れないとも言っていた。
ただ、心理学及び脳科学専門のスーザン・ウィットボーン教授は、ストレスが慢性的になると、免疫力・抵抗力等を大きく損ない、病気・怪我・睡眠障害等に陥りやすいので、特に深刻なストレスを抱えることになる米大統領には長期休暇が必要であると説いている。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「トランプ大統領、何年もの間オバマ前大統領の休暇取得を非難してきたのに、17日間の夏季休暇取得」
トランプ大統領はこれまで、オバマ前大統領の在任期間中、以下のような非難を浴びせていた。
・2011年8月:オバマ大統領は昨日ゴルフをしたが、今日から10日間の休暇に向かう。何たる労働倫理か。
・2012年1月:オバマ大統領の休暇には数百万ドル(数億円)の税金が投じられている。
・2012年4月:オバマ大統領のスペイン休暇旅行には47万6,000ドル(約5,240万円)の税金が使われている。何と金使いの荒いことか。
・2012年11月:休暇なんか取るな。さもなくば大統領職から退くべきだ。
しかし、
『ポリティファクト(タンパベイ・タイムズ紙運営のファクトチェック・ウェブサイト)』の報告では、トランプ大統領は就任以来、既に合計21回ゴルフをしているが、オバマ前大統領が在任8年間で行ったゴルフの回数は僅か11回である。
更に、トランプ大統領は在任期間の28週のうち、既に13回の週末をホワイトハウスではなく遠隔地で過ごしているが、これはオバマ前大統領の8年間の合計記録にほぼ匹敵する回数である。
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