習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)はこれまで、自身の権威強化を図るためか、中国共産主義青年団(共青団、注1後記)出身の胡錦濤前国家主席(フー・チンタオ、現79歳)や李克強現首相(リー・クーチアン、現66歳)を目の敵にしてきた。しかし、折からの新型コロナウィルス感染(COVID-19)問題再燃の逆風にさらされている。そこで、今秋の中国共産党全国代表大会(NCCCP、注2後記)において、異例の3期目続投を勝ち取るために形振り構わず、共青団を持ち上げる演説を行っている。
5月10日付米
『AP通信』は、「習氏、NCCCP開催に先立って共青団を持ち上げ」と題して、習国家主席が、異例の3期目を勝ち取るために形振り構わず、これまで冷遇してきた共青団を持ち上げる演説をした、と報じている。
習近平国家主席は5月10日、今秋開催されるNCCCPを意識してか、折からのCOVID-19再燃問題で経済的・政治的逆風にさらされる中、共青団を持ち上げる演説を行った。
習氏は、共青団100周年を祝う式典で、同組織が“中国の青年を結集・動員する上で、常に先駆けて努力を続ける部隊となっている”と称賛した。...
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5月10日付米
『AP通信』は、「習氏、NCCCP開催に先立って共青団を持ち上げ」と題して、習国家主席が、異例の3期目を勝ち取るために形振り構わず、これまで冷遇してきた共青団を持ち上げる演説をした、と報じている。
習近平国家主席は5月10日、今秋開催されるNCCCPを意識してか、折からのCOVID-19再燃問題で経済的・政治的逆風にさらされる中、共青団を持ち上げる演説を行った。
習氏は、共青団100周年を祝う式典で、同組織が“中国の青年を結集・動員する上で、常に先駆けて努力を続ける部隊となっている”と称賛した。
中国では現在、COVID-19感染防止のために厳しい措置が講じられている最中、北京の人民大会堂(1959年竣工)に数百人もの聴衆がマスク着用で出席した。
習氏はNCCCPにおいて、異例となる国家主席の3期目(任期5年)を勝ち取ることを目論んでいるが、今回の演説では敢えて言及していない。
目下のところ、青年層の中で党則について大きな議論を呼ぶことにはなっていないが、幅広い支持を獲得するためには、極端なナショナリズムにも歩み寄る姿勢が窺える。
特に直近では、COVID-19感染問題に伴って度重なる都市封鎖措置に象徴される“ゼロコロナ政策”によって、中国経済が大きな転換点を迎えている。
その中でも、雇用問題が深刻となり、就職難に陥るリスクを抱える1,100万人の新卒はもとより、地方からの出稼ぎ労働者約2億8千万人のほとんどを占める若年層にとって、死活問題となりつつある。
更に、中国政府が長らく続けてきた一人っ子政策(1979~2014年の間実施)のため、出生率の大幅低下のみならず、適齢期の男性が女性より3,500万人も過剰となる事態も招いている。
同政策が是正された現在でも、成婚率も出生率も過去数十年で類を見ない程低いままとなっている。
習氏は、7,300万人の団員を抱える共青団に対して、中国共産党への忠義を教え込む以外、就職難・結婚難・出生難等の問題について、どのような役割を期待しているのか定かではない。
ただ、同氏は演説の中で、“固い信念を形成し、困難に立ち向かう勇気と技量を培うことの大切さ”を問いた。
その上で同氏は、“道を外れずに、党に従い、党及び人民のために努力をすることこそが、共青団の元となる使命だ”と強調した。
一方、同日付中国『チャイナ・デイリィ』は、「習氏、国家再生に向けて新たな夢を追いかけるよう進言」と題して、共青団の記念式典での演説を淡々と報じている。
習国家主席は5月10日、共青団の100周年記念式典で、国家再生という中華思想実現に向けて、前進していくようにと勇気付ける演説を行った。
同氏は、若者に大いなる希望を与え、かつ、活力を更に栄えさせるような国家が理想である、と強調した。
(注1)共青団:中国共産党による指導のもと、14歳から28歳の若手エリート団員を擁する青年組織。1920年8月、前身の中国社会主義青年団として、1921年に発足する中国共産党の基盤を固めるために、下部組織として作られた。青年が共産主義を学習する学校として機能しており、実質中国共産党の予備軍である。直接中国共産党に入党することも可能であるが、将来共産党高級幹部を目指すためには先ず共青団に入団し、共産党に入党するのがエリートコースとされている。2013年末には総団員数8,900万人を誇ったが、現在は7,300万人まで減少している。
(注2)NCCCP:中国共産党の最高機関。中国の政治は中国共産党が指導するため、事実上中国の最高指導機関でもある。この大会で決められることは、重大問題の討論と決議、党規約の修正、中央委員会、中央紀律検査委員会メンバーの選挙である。1921年に第1回大会が開催され、1977年以降は5年に一度開催。今年は第20回大会となる。
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習近平国家主席(68歳)は、来年11月に中国共産党中央委員会総書記(最高指導者)10年の任期を迎えるが、史上初となる3期目を目指して党内統一を図るとともに、任期中の成果を殊更強調している。そうした中、タイミング良く開かれた「万里の長城国際民族文化芸術祭」へ宛てての祝辞の中で、自身が主導した“一帯一路経済圏構想(OBOR)”がもたらした成果に言及している。
9月16日付
『チャイナ・デイリィ』紙(1981年創刊の英字紙):「習国家主席、OBOR政策が国際交流を促進したと強調」
習近平国家主席は9月15日、自身が主導したOBOR政策実施の過程で、様々な異なる国家間での国際交流が図られ、平等の原則、相互理解、対話、多様性等が深まったと強調した。
9月15日に開幕した、「万里の長城国際民族文化芸術祭」に宛てた祝辞の中で述べられたもので、同国家主席は、8年前にOBOR政策を標榜して以来、同政策に賛同して参画した多くの国々が一緒になって活動することで、人々の福祉や満足度が高められ、そして様々な文化を通じての交流や対話が促進した、と言及した。...
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9月16日付
『チャイナ・デイリィ』紙(1981年創刊の英字紙):「習国家主席、OBOR政策が国際交流を促進したと強調」
習近平国家主席は9月15日、自身が主導したOBOR政策実施の過程で、様々な異なる国家間での国際交流が図られ、平等の原則、相互理解、対話、多様性等が深まったと強調した。
9月15日に開幕した、「万里の長城国際民族文化芸術祭」に宛てた祝辞の中で述べられたもので、同国家主席は、8年前にOBOR政策を標榜して以来、同政策に賛同して参画した多くの国々が一緒になって活動することで、人々の福祉や満足度が高められ、そして様々な文化を通じての交流や対話が促進した、と言及した。
また、同国家主席は、同国際フェスティバルの開催を通じて、シルクロードや万里の長城という世界文化遺産の価値を更なる拡充に繋げられ、かつ、参加した多くの民族の文化・芸術の相互理解・交流に役立つ、とも付言した。
なお、同国際フェスティバルは、中国文化・観光部(省に相当)及び河北省政府の共催で、中国東岸の廊坊市(ランファン)において9月15~17日の3日間開催されている。
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