中国政府:10月開催の共産党大会までに習国家主席主導の”ゼロコロナ政策”結実のため長期休暇期間の旅行制限【欧米・中国メディア】(2022/09/09)
中国では、10月中旬に5年に一度の全国人民代表大会(共産党大会)が開催される。そこでの最大の関心事は、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)の異例の3期目が承認されるかどうかである。このため、同国家主席主導の“ゼロコロナ政策”の成果を見せる必要があり、9月中旬及び10月初めの長期休暇期間において、特に新型コロナウィルス(COVID-19)感染再拡大にある大都市圏では、不要不急の旅行を制限する通達が出されている。
9月8日付欧米
『ロイター通信』は、「COVID-19感染再流行下、より多くの大都市で長期休暇期間の旅行自粛を呼びかけ」と題して、中国では比較的早い段階でCOVID-19封じ込めに成功し全国的に安定推移してきたが、今年になってオミクロン変異株が再び猛威を振るい始めていることから、これから秋にかけて続く長期休暇期間において、全国の大都市圏で旅行の自粛が呼びかけられていると報じた。
今年に入ってCOVID-19再流行が起こっている中国において、多くの都市で感染拡大防止のため、数千万人規模に及ぶ都市封鎖措置が講じられている。...
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9月8日付欧米
『ロイター通信』は、「COVID-19感染再流行下、より多くの大都市で長期休暇期間の旅行自粛を呼びかけ」と題して、中国では比較的早い段階でCOVID-19封じ込めに成功し全国的に安定推移してきたが、今年になってオミクロン変異株が再び猛威を振るい始めていることから、これから秋にかけて続く長期休暇期間において、全国の大都市圏で旅行の自粛が呼びかけられていると報じた。
今年に入ってCOVID-19再流行が起こっている中国において、多くの都市で感染拡大防止のため、数千万人規模に及ぶ都市封鎖措置が講じられている。
そうした中、中国東端の江蘇省(チャンスー)の二大都市が9月8日、9月10~12日間の中秋節(お盆に相当)期間における不要不急の旅行を控えるよう通達を出した。
同省西部の南京(ナンチン、人口約900万人)及び無錫(ウーシー、同約600万人)で、北京(同約2,100万人)・上海(同約2,800万人)等の大都市に続く行動制限となっている。
中央政府主導で全国的に“ゼロコロナ政策”が実施されている現状下、世界レベルより遥かに低いとはいえ、9月6日の新規感染者が全国で1,695人も発生していることから、必然的に多くの都市圏でより厳しい制限措置が取られることになる。
ただ、世界に比較して総感染者数が少なく、感染防止政策は成功とみられるが、その結果として景気後退が起こり、また、行動制限が3年にわたり断続的に続けられていることから、国民の不満が次第に大きく広がりつつある。
中央政府は未だ、いつ“ゼロコロナ政策”を終わらせるか公表していないが、入境を制限しての外国人旅行者の受け入れ停止措置は依然継続されたままである。
ただ、今回の大都市圏の行動制限呼びかけは、習国家主席の異例となる3期目続投が主題となる、5年に一度の党大会開催まで1ヵ月余りとなった時期になされたものである。
その他の都市での行動制限措置は以下のとおりである。
●中部四川省(スーチュワン)の成都(チェンドゥ、人口約900万人)及び近郊(合計約2,100万人):9月1日より都市封鎖措置が講じられているが、依然解除時期は未定。
●北京近郊の亦庄地区(イーチュアン)経済・技術特区:同特区共産党高官に対して、中秋節及び国慶節(10月1~7日)期間中の不要不急の特区外移動を禁止。同特区内住民に対しても、同様行動自粛を要請。
なお、9月7日に当局からリリースされた8月の貿易高は、輸出・輸入とも大きく減退していて、“ゼロコロナ政策”による都市封鎖措置等が影響しているとみられ、また、世界的インフレーションや現下の新たなCOVID-19流行問題に伴い、今後の見通しも更に低下すると予想されている。
同日付中国『チャイナ・デイリィ』(1981年創刊の共産党宣伝部保有英字紙)は、「中国高官、ゼロコロナ政策は人命も経済も救うと表明」として、感染症対策部門幹部が、“ゼロコロナ政策”遂行によって、感染症拡大抑制が図られ、結果として経済再生にもつながると表明したと報じている。
感染症対策部門幹部が9月7日、中国政府による大胆な“ゼロコロナ政策”は経済上もまた科学的なアプローチの観点からも、世界的に依然まん延しているCOVID-19の新たな流行を抑える最適な政策だと訴えた。
中国国家疾病予防管理局(2021年設立)の張ジル副局長が語ったもので、同政策は新規感染症予防に最適で、低コストでの拡大防止かつ短期間での成果が期待できるものだと主張した。
同副局長は中国共産党宣伝部が催した記者会見の席上、“同政策の下で、生産性が維持され、かつ全国民の健康が守られており、結果として安定的なサプライチェーン(総合的供給網)が確立・継続されている”と言及した。
記者団から、同政策は経済成長に水を差すものではないのかと問われたところ、同副局長は、COVID-19は依然沈静化しておらず、また、変異株の現出によって猛威を振るっていることから、ウィルス対策の最適化を優先していくことが肝要で、この成果に基づいて、将来の社会及び経済の繁栄に繋げられる、と回答した。
更に、同副局長は、中国における新感染症発生時の即応体制の充実さや、これまで発生した感染症-鳥インフルエンザ(2013年)、中東呼吸器症候群(2012年)等の感染抑制に良く対応できた経験則や、西アフリカのエボラ出血熱(2014年)抑制のための国際貢献等、中国における感染対策の成功例を挙げ、これらを踏まえて上で取り組んできている現行の“ゼロコロナ政策”の有効性について改めて称賛している。
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中国政府;米下院議長が台湾訪問すれば相応の報復、と脅し【米・中国メディア】(2022/07/20)
既報どおり、中国政府は米国政府の台湾接近に対して非常に神経を尖らせている。5月には、外交部門トップが、台湾の世界保健機関(WHO、1948年発足)総会出席を後押しするバイデン政権を恫喝すれば、6月には、国防部門トップが、アジア安全保障会議(シャングリラ対話、注1後記)において、台湾独立阻止のためには米国とも徹底抗戦すると改めて宣言している。そして今度は、一時延期となっていた米下院議長の台湾訪問の日程が明らかになったことから、中国外交部が改めて相応の報復を行うと表明して牽制した。
7月19日付米
『AP通信』は、「中国政府、もしペロシ米下院議長が訪台すれば“強烈な報復措置”を講ずると脅し」と題して、一時延期となっていたナンシー・ペロシ下院議長(82歳、2019年就任、カリフォルニア州選出民主党議員、1987年初当選)の訪台の日程が明らかになったことから、中国外交部が改めて相応の報復を行うと表明して牽制したと報じている。
中国外交部(省に相当)は7月19日、もしナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問すれば、“断固として強烈な報復措置”を講ずると表明した。...
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7月19日付米
『AP通信』は、「中国政府、もしペロシ米下院議長が訪台すれば“強烈な報復措置”を講ずると脅し」と題して、一時延期となっていたナンシー・ペロシ下院議長(82歳、2019年就任、カリフォルニア州選出民主党議員、1987年初当選)の訪台の日程が明らかになったことから、中国外交部が改めて相応の報復を行うと表明して牽制したと報じている。
中国外交部(省に相当)は7月19日、もしナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問すれば、“断固として強烈な報復措置”を講ずると表明した。
同議長はバイデン政権で2番目の重鎮であるが、英経済紙『フィナンシャル・タイムズ』(1888年創刊、2015年日本経済新聞社傘下)によれば、当初4月に予定していた訪台が自身の新型コロナウィルス(COVID-19)感染で延期となっていたが、8月に訪問することになったという。
もしペロシ議長が訪台するとなれば、25年前に訪台した当時のニュート・ギングリッチ議長(現79歳、1995~1999年在任、1979~1999年ジョージア州選出の共和党議員)以来のことで、米議員で最高位の人物の台湾訪問となる。
中国はこれまで、武力を用いての台湾統一も辞さないと宣言しており、台湾領空に戦闘機を派遣して脅したり、武力侵攻を想定しての軍事演習を展開してきている。
中国政府としては、70年以上前に内戦の勃発で分断された台湾を統一するのは悲願であり、独立派を支援する米国には強硬に対抗していくとしている。
そこで、外交部の趙立堅報道官(チャオ・リーチアン、49歳、2020年就任)は7月19日の定例会見で、ペロシ議長の訪台は“中国の主権を脅かし、かつ、米中関係を大きく損なわせるばかりか、台湾独立派に間違ったメッセージを送ることになる”とした上で、“もし米国が誤った道をそのまま進もうとするなら、主権擁護のために断固として強烈な報復措置を講ずる”と糾弾した。
一方、ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官(44歳、2022年就任)はペロシ議長の訪台の件には触れず、“一つの中国”原則を理解しているものの、台湾を支援するのは“強固な意志”であって、非公式な活動や台湾との防衛協力は今後も続ける、とのみコメントしている。
なお、中国政府は、米国が最近決定した1億800万ドル(約149億円)相当の武器輸出をキャンセルするよう強硬に要求している。
また、国防部も7月19日、“中国人民解放軍(1947年設立)は、台湾独立派を支援する如何なる外敵にも断固たる対抗行動を取る”と同部ウェブサイト上で表明している。
7月20日付中国『チャイナ・デイリィ』(1981年設立、中国共産党中央宣伝部保有の英字紙)は、「中国政府、もしペロシ議長が訪台すれば強硬な対抗措置を講ずると宣言」として、中国政府の公式発表について詳報している。
外交部の趙報道官は7月19日、『フィナンシャル・タイムズ』紙がペロシ議長の来月の訪台について報道したことを受けて、“もし訪台するとなれば、米国政府は、それによって発生する様々な問題について深刻に捉える必要がある”と釘を刺した。
同議長は当初、4月の訪台を予定していたが、結果として自身のCOVID-19感染で延期となったものの、王毅外交部長(ワン・イー、68歳、2013年就任)は当時、(議長の訪台は)中国主権に対する悪意のある挑発行為だと非難していた。
同報道官はまた、米国務省が7月18日、台湾関係法(TRA、注2後記)に基づいて台湾向けにバイデン政権下で通算5度目となる1億800万ドル相当の武器輸出を承認したことについても糾弾している。
同報道官は、度重なる武器輸出によって“台湾独立派”が悪戯に勇気付けられ、反って中台間の緊張関係を増大させるだけだ、とした上で、“台湾統一という中国の核心的利益を棄損しようとする、米国による内政干渉に対して断固として反対する”とも非難している。
(注1)シャングリラ対話:安全保障問題などを研究するシンクタンク、国際戦略研究所(IISS、1958年設立、本部ロンドン)が主催。2002年から年1回のペースで開かれていて、アジア・太平洋地域を中心に、各国の国防・安全保障の担当閣僚らが顔をそろえる。シャングリラホテル・シンガポールが会場なので、そう呼ばれている。政府間の公式な会議では自由な議論が難しいケースもあるため、外交・安保の専門家やビジネス界のリーダーなども交えて率直な意見をぶつけ合う場を民間が設け、地域の信頼関係を築くことに役立ててもらおうという狙いがある。
(注2)TRA:台湾の安全保障のため、軍事同盟的なニュアンスを含む米国内法。同法は、カーター政権による台湾との米華相互防衛条約の終了に伴って1979年に制定されたものであり、台湾を防衛するための軍事行動の選択肢を大統領に認める。米軍の介入は義務ではなくオプションであるため、同法は米国による台湾の防衛を保障するものではない。
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