台湾、インド人労働者受け入れで労働相が肌の色発言で謝罪(2024/03/06)
台湾では、労働者不足対策としてインドからの出稼ぎ労働者を受け入れる方針だが、労働省からの不適切発言が批判されているという。
3月5日付米
『CNN』:「台湾が受け入れるインド労働者の肌の色や宗教」:
台湾は、出稼ぎ労働者雇用開始を前に、労働相のインド人の肌の色、宗教、食事に関する発言を巡って被害対策に追われている。
先月署名された労働者受け入れに関するインドと台湾間の同覚書に関して、スー・ミンチュン労働相は、先週のヤフーTVとのインタビューで、台湾に「肌の色や食事が近い」インド東北部からの労働者受け入れを開始する可能性があるとし、「更に、殆どがキリスト教徒で、製造業、農業、建設等の部門を得意としている」と発言していた。...
全部読む
3月5日付米
『CNN』:「台湾が受け入れるインド労働者の肌の色や宗教」:
台湾は、出稼ぎ労働者雇用開始を前に、労働相のインド人の肌の色、宗教、食事に関する発言を巡って被害対策に追われている。
先月署名された労働者受け入れに関するインドと台湾間の同覚書に関して、スー・ミンチュン労働相は、先週のヤフーTVとのインタビューで、台湾に「肌の色や食事が近い」インド東北部からの労働者受け入れを開始する可能性があるとし、「更に、殆どがキリスト教徒で、製造業、農業、建設等の部門を得意としている」と発言していた。その後、与野党から批判を受けた同氏の発言で、4日外務省が謝罪。
世界で人口が2️位のインドは、多様な文化、宗教、人種のるつぼとされている。中国、バングラデシュ、ミャンマーと国境を接する広大な北東部のインド人は、他地域と比べより東アジアに近い特性を持っている。
台湾とインドの間では、ビジネス提携が進んでいる。コロナ禍で中国での供給が途絶え、アップル最大のサプライヤーである台湾企業フォクスコンが、インドでの生産を拡大している。2月、台湾は労働不足対策として、出稼ぎ労働者雇用の方針を発表。
東アジアの近隣国、中国、香港、日本、韓国では少子化が続いている。経済計画庁の予測によると、先端半導体生産で知られる台湾は、2025年までに超高齢化を迎え、高齢者が人口の2割以上となり、2028年までには労働者人口が、全人口の3分の2未満となるとされている。
多くの外国人労働者の雇用は容易なことではなく、11月、米メディアは台湾が「10万人のインド人を工場や農場、病院で雇用」と報じたが、情報源の不明なこの報道にネット上では議論となった。労働省によると、現在台湾は、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンからの労働者を受け入れている。
同日付『Yahooニュース』(インディペンデント):「インド人受け入れ労働者に関する差別発言で台湾労働相が謝罪」:
台湾の労働相は5日、インド人出稼ぎ労働者雇用に関する差別発言をめぐり謝罪を表明した。
スー・ミン・チュン労働相はインタビューで、「インド人は台湾の人々と肌の色や食習慣が近い」ため、インドの東北からの採用を行うとする発言が物議を醸していた。
インドから公式な批判はないが、台湾内部の与党民主進歩党(DPP)から批判されている。労働相は労働政策は平等主義が明確だとしていたが4日、「真摯に受け止め、訂正し謝罪する」としている。外務省も同様の謝罪声明を発表。労働者の能力高さを強調した発言だったと説明している。
労働者不足解消を目的とし、台湾は2月26日インドとの労働者受け入れに合意していた。台湾には、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンから70万人の出稼ぎにきているとされる。
米メディアはソーシャルメディア上での批判を取り上げ、台湾市民が、労働者流入による犯罪増加や、女性の安全への懸念を高めていると報じている。
閉じる
インドネシアの刑法改正案、外国人や観光への影響も(2022/12/07)
インドネシアでは、婚前交渉を禁止し、懲役刑も科す刑法改正案が可決された。海外からの投資や渡航が減るとの懸念から、経済や観光の回復に水を差すものだと批判されている。
12月7日付
『ロイター通信』:「インドネシアで婚前交渉を禁止とする刑法改正」:
インドネシア議会は6日、婚前交渉を禁止し、違反すれば最大1年の禁固刑とする刑法改正案を可決した。法改正による観光客や投資への影響が懸念されている。
この刑法改正は、インドネシア国民と外国人にも適用され、婚姻前の同棲も禁止とする。また、大統領や国家機関への侮辱、反国家的イデオロギーの拡散、届け出のない抗議デモも禁止する。...
全部読む
12月7日付
『ロイター通信』:「インドネシアで婚前交渉を禁止とする刑法改正」:
インドネシア議会は6日、婚前交渉を禁止し、違反すれば最大1年の禁固刑とする刑法改正案を可決した。法改正による観光客や投資への影響が懸念されている。
この刑法改正は、インドネシア国民と外国人にも適用され、婚姻前の同棲も禁止とする。また、大統領や国家機関への侮辱、反国家的イデオロギーの拡散、届け出のない抗議デモも禁止する。全政党の支持を得て可決したが、新たな刑法は規則の制定を待つため3年間は施行されない。現行法では婚外交渉のみ禁止で婚前交渉は対象外。
インドネシア観光産業委員会は、「パンデミックから経済と観光が立ち直るタイミングに逆行した施策」だと批判している。観光協会の試算によると、バリを訪れる外国人観光客は2025年には600万人台に回復するとみられおり、政府もビザ要件を緩和し、観光地でテレワークできる「デジタルノマド」を推進している。
投資サミットの演説で、ソン・キム駐インドネシア米国大使は、海外からの投資や渡航が減るとの懸念を示し、「個々人の私的な意志決定を犯罪と見なすことが、企業がインドネシアへの投資を決定する際に大きな位置を占めるだろう」と述べた。
米国務省のプライス報道官は、法の内容を評価中で規則もまだ策定されていないが、「人権やインドネシアの基本的自由に与える影響、そして企業の投資環境や、同国での居住、訪問への影響について懸念している。同国は民主的なパートナー国であり、憎悪や偏見の改善に協力していく」としている。
インドンシアの司法省報道官は、違反を報告できるのは両親、配偶者、子などに限られ、法改正は「婚姻法やインドネシアの価値観を守る目的」だと強調。一方、インドネシアの地元メディアは、刑法改正は「権威主義的な意味合いを帯びており、非常に懸念される」と評価。国民の反応は未だ穏やかだが、首都ジャカルタで小規模なデモが行われている。
同日付『ヤフーニュース』(BBC):「インドネシアの法改正と観光への影響」:
パンデミックの影響から回復しつつあるインドネシアの観光業界だが、議会で可決した刑法改正案が、観光客を再び遠ざけることが懸念されている。
賛否のある刑法は、人権を損なうものとの批判もある。改正法では、婚外交渉以外にも、同棲や、政治宗教的自由も制限している。刑法は3年以内に施行される見込みで、インドネシア国民、同国に居住する外国人や観光客にも適用されるという。
この改正案は隣国オーストラリアでも大きく報じられている。インドネシアの経済は、パンデミック前まで観光収入源のトップだったオーストラリアからの観光客に支えられている。
バリの熱帯の島々へは、一ヶ月あたり数千人のオーストラリア人観光客が訪問する。バリ島の結婚式も人気で、学生は毎年数千人が卒業旅行に出かける。年に数回弾丸旅行に行く人もいる。しかし、噂に過ぎなかったが法改正が現実となり、現地では旅行への不安が広がっている。
現在600の項目がある刑法の改正では、婚前交渉は最大1年の禁固刑、また同棲が見つかった場合は、最大半年の禁固刑となる。インドネシア司法省の報道官は、警察への報告は殆どが自国民によるものと想定されるため、「オーストラリア人(観光客)は心配する必要はない」と述べ、観光客へのリスクは低いと強調している。観光客を呼び戻したいインドネシア政府は数週間前、最大10年滞在可能な新たなビザ新設を発表している。
閉じる
その他の最新記事