独VWに続いて今度はダイムラーが排ガス不正疑惑(2)【米・英・フランス・ドイツ・中国メディア】(2017/07/20)
7月13日付Globali「独フォルクスワーゲン(VW)に続いて今度はダイムラーが排ガス不正疑惑」の中で、“ドイツのダイムラー(メルセデス・ベンツ他の自動車メーカー)にディーゼル・エンジン排ガス不正疑惑が持ち上がった。不正疑惑対象は100万台で、VWのリコール対象問題車1,100万台より少ないとは言え、VWに匹敵する信用失墜問題に発展する可能性がある”と報じた。ダイムラーは、VWやタカタが犯した、当局調査への不協力や隠蔽などによって法外な罰金を科せられる愚は犯していないと思われるものの、自ら問題申告はせず、当局による不正疑惑の調査・指摘まで何らアクションを取らなかったことから、危機管理対応が不十分だったと言えなくもない。その結果、予想以上の風評被害払拭のため、疑惑対象車の3倍にも上る全車をリコール(回収・無償修理)するとの自主対策を決断せざるを得なくなっている。
7月18日付米
『CNNニュース』:「ダイムラー、300万台のメルセデス・ベンツのディーゼル車をリコール」
ダイムラーは7月18日、欧州で販売したメルセデス・ベンツのディーゼル車300万台以上を自主的にリコールすると発表した。同措置の費用は、2億2,000万ユーロ(2億5,500万ドル、約286億円)に上るとみられる。
同社のディーター・ツェッチェ社長は、ディーゼル・エンジンへの不信感が高まってしまったことから、顧客に安心してもらうため、ディーゼル・エンジン搭載全車をリコールすることにしたと表明した。...
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7月18日付米
『CNNニュース』:「ダイムラー、300万台のメルセデス・ベンツのディーゼル車をリコール」
ダイムラーは7月18日、欧州で販売したメルセデス・ベンツのディーゼル車300万台以上を自主的にリコールすると発表した。同措置の費用は、2億2,000万ユーロ(2億5,500万ドル、約286億円)に上るとみられる。
同社のディーター・ツェッチェ社長は、ディーゼル・エンジンへの不信感が高まってしまったことから、顧客に安心してもらうため、ディーゼル・エンジン搭載全車をリコールすることにしたと表明した。
ドイツの『ジュートドイチャー・ツァイトンク(南ドイツ新聞)』が先週(7月12日)、ドイツ当局が、ダイムラーが欧州及び米国で販売した100万台以上のディーゼル・エンジン車に、排ガス不正回路が搭載されている疑いで捜査していると報じていた。
なお、同様の問題については2015年、VWが販売した1,100万台のディーゼル車に排ガス不正回路が搭載されていたことが発覚している。
7月19日付英『ザ・ガーディアン』紙(『AP通信』配信):「ディーゼル車排ガス不正疑惑で、メルセデス・ベンツ300万台がリコール」
ダイムラーの発表により、直近6年間で英国に輸出されたほとんど全てのメルセデス・ベンツのディーゼル車がリコールされることになる。対象となるのは英国内で何台となるか明らかにされていないが、同社発表では、ドイツ内が100万台、欧州全域で200万台になるという。
なお、2015年に発覚した、VW製ディーゼル車リコール対象1,100万台のうち、英国の対象車は120万台程であった。
7月18日付フランス『フランス24』オンラインニュース(『AFP通信』配信):「ダイムラー、欧州で販売した300万台のディーゼル車をリコールすると発表」
ダイムラーは、メルセデス・ベンツのディーゼル車は最新技術を結集した排ガス削減エンジンを搭載しており、欧州の厳しい規制にも十分適合しているが、(先週の報道によって)世論に不安感が増幅していることから、顧客に安心してもらうため、自主的にリコールすることを決定したと表明している。
なお、同社広報担当は、当局の捜査の進捗についてはコメントを控えたが、当局調査に全面的に協力しているとのみ語った。
同日付ドイツ『DW(ドイツ通信)』:「ダイムラー、欧州で販売のディーゼル車300万台をリコールする計画」
ダイムラーのツェッチェ社長は、同社のディーゼル・エンジンの排ガス減少技術は、欧州の厳しい規制に十分適うものであるが、報道によって毀損された信頼性を取り戻すため、自主的に全販売対象300万台をリコールすることに決めたと語った。
VWの不正疑惑が発覚した2015年9月、ツェッチェ社長は、ダイムラーには同様の問題が起こる可能性はないとしていたが、ドイツの交通省は先週、同社のディーゼル車に排ガス不正の疑いがあるので調査すると発表している。
7月19日付中国『新華社通信』:「ダイムラー、欧州で販売されたディーゼル車300万台をリコール」
ダイムラーは、対象車のリコールを翌週からすぐに開始するとしているが、全車をリコールするには長い期間を要するものとみられる。
なお、同社は同時に、新型ディーゼル・エンジン搭載の新車製造ラインを、可及的速やかに新設すると発表している。
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仏メディアにみるパナマ文書:告発者ジョン・ドウの直前の告白文(2016/05/09)
パナマというタックスヘイブンを利用した世界の裕福層の租税回避の実態がパナマ文書で明らかにされてから1か月。5月10日に実名リスト公表が予定されるタイミングで、その発端となった告発者が身元を隠したまま、暴露の経緯や動機を新聞で発表した。ジョン・ドウと名乗る告発者の告白文についてフランスメディアは次の通り報じる。
『フィガロ紙』によると、ジョン・ドウは
『南ドイツ新聞』に送った告白文の中で、まずスパイである事を否定した。「どの国の政府でも情報機関でも働いたことはなく、コンサルティングのように間接的にも関ったことはなく」、「モサック・フォンセカの法律事務所のやり口を告訴するための行動」と、その動機を説明する。
ジョン・ドウはこの告白文でもう一つのメッセージを送っている。「フィガロ紙」によると、ジョン・ドウは「各国所轄の当局と協力する心づもりがある」ようだ。...
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『フィガロ紙』によると、ジョン・ドウは
『南ドイツ新聞』に送った告白文の中で、まずスパイである事を否定した。「どの国の政府でも情報機関でも働いたことはなく、コンサルティングのように間接的にも関ったことはなく」、「モサック・フォンセカの法律事務所のやり口を告訴するための行動」と、その動機を説明する。
ジョン・ドウはこの告白文でもう一つのメッセージを送っている。「フィガロ紙」によると、ジョン・ドウは「各国所轄の当局と協力する心づもりがある」ようだ。もし司法当局のみがパナマ文書を入手できて評価するとしたら、パナマ文書によって数千の起訴が生じる可能性があるからだ。無料で協力するかどうかは明言していないが、ジョン・ドウが出した条件は「身の安全の保障」である。「各国政府はジョン・ドウのための法的保護プログラムを確立していないが、パナマ文書を入手するにはメディアが行った文書解析に頼らざるを得ないだろう」と予告する。
ジョン・ドウの突然の告白の背後には、「ジョン・ドウの動機は金稼ぎ」という疑いがある。
しかし
『ルモンド紙』は「モサック・フォンセカの一部データが既に英米独の当局に売却された」事を報じ、「南ドイツ新聞」へのリークが「公共の利益への貢献である事を確認しようとしている」とみる。ジョン・ドウは告白文の中で「社会的不平等を生む癒着システムによって、弁護士の職業倫理の逸脱、裕福層の免責が可能になる事」、「それを終わらせる政治指導者の勇気の欠如」を指摘する。また「次の革命はデジタル革命」と予言めいた発言をしている。
また「ルモンド紙」によると、ICIJが中心となって世界中の108のメディアのジャーナリストがパナマ文書の調査に参加した一方で、一部大手メディアはパナマ文書に全く興味を示さなかった事を伝える。特定の億万長者は趣味かのようにメディアを保有し、真面目な調査報道は常に資金不足である。ジョン・ドウは大手メディアの姿勢に批判的であり、パナマ文書の調査に参加した「ルモンド紙」もこの点に同意するようだ。驚くべきは、ジュリアン・アサンジュ氏の
『ウィキ・リークス』がジョン・ドウのパナマ文書の扱いを批判した事だ。リーク全体を公表を求める「ウィキ・リークス」はジョン・ドウの身の安全の条件に応じなかったようだ。
告発者の身元は未だに全く謎でジョン・ドウという仮名しか知られていない。「ルモンド紙」は「ジョン・ドウはアングロサクソン圏で匿名の人物を指す名称」である事、「きちんとした英語で、米国や英国の政治状況について力説する」事から、英語圏出身者の可能性を指摘する。いずれにせよ明日10日で大きな展開があるだろう。
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