既報どおり、トランプ政権は今秋の大統領選勝利に向けて、対中国強硬政策をより先鋭化している。そこで、同じく中国との対立が目立つオーストラリア、インドに加えて日本を巻きこみ“4ヵ国戦略対話(Quad会議、注後記)”を強化しようとしている。更に、この程訪印した米高官が、中国と対峙するインドを支援していくと高らかに宣言した。
10月13日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「訪印中の米高官、中国は“触れてはならない問題”としながらも中国対峙のインド支援を表明」
訪印中のステファン・ビーガン国務省副長官(57歳)は10月12日、中国は“触れてはならない問題”としながらも、中国対峙を表すインドを“強力で伝統のある自治国家”と持ち上げた上で、インド太平洋地域におけるインド権益擁護を支援していくと宣言した。
同副長官は、同日から始まった米印フォーラムの冒頭で演説した。
同副長官は、“米国は、インドの主権や民主主義を擁護していくべく、更に強力にバックアップしていく”とも付言した。
同副長官の訪印は、先週東京で開催されたQuad会議に続くものである。
すなわち、マイク・ポンペオ国務長官(56歳)が今月初めに訪日して、茂木敏充外相(64歳)、オーストラリアのマリーズ・ペイン外相(56歳)及びインドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相(65歳)とQuad会議を開催し、“自由で開かれたインド太平洋構想”を再確認し、以て一方的な海洋進出を目論む中国を牽制していくことを協議している。
なお、同副長官は、Quad会議のメンバーは“権益擁護のために協力し合おうとするもので、決して義務ではなく、更には4ヵ国に限るものではない”として、“自由で開かれたインド太平洋構想に賛同する国はどこでも参加を歓迎する”と言及した。
また、同副長官は、訪印中に、米・インドの“2+2(外相・国防相)閣僚対話”の事前準備を進める意向とされている。
同日付インド『ニュース・オン・エア』ラジオニュース:「米高官、Quad会議拡大を提唱」
訪印中のビーガン米国務省副長官は10月12日、ジャイシャンカル外相と会談した際、自由で開かれたインド太平洋構想を望む国々はどこでも、Quad会議グループへの参加を歓迎したいと発言した。
同副長官は、例えば南シナ海における自由を擁護するため、東南アジア諸国連合の国々との連携強化も考えられるとした。
なお、同副長官は、ニューデリーで開催される米印フォーラム出席のために訪印しており、3日間滞在する予定であるが、主たる目的は、今月末に開催される第3回米印2+2閣僚対話の事前協議である。
(注)Quad会議:日米豪印戦略対話、または4ヵ国戦略対話。非公式な戦略的同盟を組んでいる日本、米国、オーストラリア及びインドの4ヵ国間における会談で、2ヵ国間同盟によって維持されている。2007年、安倍晋三首相(当時)によって提唱、その後オーストラリアの離脱等紆余曲折を経て今日に至る。アジア太平洋地域における米中関係の緊張が増す中、領土問題で対立する日本、インド、更にはスパイ活動や貿易問題で中国対立が深刻化するオーストラリアの積極的参加によって、同会議が更に活発化している。
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