今年11月8日実施の一般有権者による投票で、すでにトランプ氏の大統領選勝利が確実となっていたが、米国憲法に基づく選挙人制度(注1後記)に基づく投票によって、全投票数(計538)の過半数の304票を獲得したトランプ氏が、正式に次期大統領として選出されることになった。一方で、史上初めて、一般有権者の投票結果に抗って造反投票した選挙人が7人も出ており、改めて米国の間接選挙制度のひずみが浮き彫りになっている。
12月20日付米
『ザ・タイム』誌:「月曜実施の選挙人投票で史上最多の造反投票現出も大勢に影響なし」
「●12月19日実施の各州選出選挙人の投票の結果、ドナルド・トランプ氏が過半数270票を超える304票を獲得して、正式に次期大統領に選出。
●民主党クリントン陣営の淡い期待に背き、共和党選出選挙人でトランプ氏以外に投票したのは僅か2人。
●これに反して、民主党選出の選挙人の内、ヒラリー・クリントン氏以外に投票したのが5人にも上り、合計7人の造反者は、1808年に6人を記録して以来史上最多。...
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12月20日付米
『ザ・タイム』誌:「月曜実施の選挙人投票で史上最多の造反投票現出も大勢に影響なし」
「●12月19日実施の各州選出選挙人の投票の結果、ドナルド・トランプ氏が過半数270票を超える304票を獲得して、正式に次期大統領に選出。
●民主党クリントン陣営の淡い期待に背き、共和党選出選挙人でトランプ氏以外に投票したのは僅か2人。
●これに反して、民主党選出の選挙人の内、ヒラリー・クリントン氏以外に投票したのが5人にも上り、合計7人の造反者は、1808年に6人を記録して以来史上最多。」
12月19日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙:「選挙人304票の得票でドナルド・トランプ氏が正式に大統領に選出」
「●共和党選出の選挙人でトランプ氏以外に投票した2人はテキサス州(選挙人全38名)の選挙人。
●一方、民主党選出の選挙人中、ワシントン州(選挙人全12名)の4人が造反-3人がパウエル元国務長官に、また1人がアメリカ原住民活動家フェイス・スポッティッド・イーグル女史に投票-そして、ハワイ州(全4名)の1人がバーニー・サンダース氏に投票。
●全50州・ワシントン特別区の内、29州の選挙人は、一般有権者投票で予め選出された候補者に投票することが同州法で義務付けられており、ワシントン州では造反選挙人に1千ドル(約11万8千円)の罰金刑。
●なお、一般有権者の投票では、クリントン候補がトランプ候補より約290万票(全体の約0.2%)多く獲得。
●なおまた、選挙人投票の最終結果は1月6日の連邦議会両院合同会議で正式認証。」
12月20日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「トランプ氏、選挙人投票で正式に勝利」
「●トランプ候補は12月19日、支援者のお蔭と感謝のツイート。
●最終得票数は、トランプ氏304票(造反2票)に対して、クリントン氏227票(同5票)。」
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「史上初:クリントン民主党の
“造反”選挙人、アメリカ原住民活動家のフェイス・スポッティッド・イーグル氏に投票」
「●アメリカ原住民の環境保護活動家のフェイス・スポッティッド・イーグル氏(65歳)は、ダコタ・アクセス・パイプライン建設プロジェクト(注2後記)の反対運動を展開するグループ代表。
●イーグル氏に投票した民主党選挙人は、同じくアメリカ原住民活動家のロバート・サティアカム氏で、元々クリントン氏ではなくバーニー・サンダース上院議員を支援。
●ワシントン、ハワイ両州以外にも民主党選挙人でクリントン氏に投票しないと表明していた人が数人いたが、当該州法によって交代させられたため、結局民主党の造反選挙人は合計5人。」
同日付中国
『上海日報』(
『新華社通信』配信):「抗議行動にもめげず、トランプ氏が正式
に次期大統領に選出」
「●12月19日実施の選挙人による投票は、半ば形骸化されているが、共和党選挙人は投票日以前から、トランプ氏以外に投票するよう求める反トランプ派による抗議行動に遭遇。
●何故なら、米情報当局幹部の多くが、米中央情報局(CIA)がリリースした、(トランプ氏を支持する)ロシアが関わるサイバー攻撃によって米大統領選が妨害されたとの調査結果を支持。
●よって、一般有権者投票の結果獲得した共和党選挙人306人の内、37人が造反すれば、大統領選出に必要な過半数の270票に届かなくなると反トランプ派が期待。
●しかし、結果はテキサス州の2人が造反投票したのみ。」
(注1)選挙人制度:1787年9月発効の米国憲法制定のときに導入。当時はラジオ・テレビ放送などはなく、新聞はあったが識字率も低く、大統領候補の政策や主張を知る方法がなかった。更に、国土の広大さに対して交通も通信も未発達であり、全土で直接選挙を行うことは物理的に困難。そこで、いずれかの候補者の支持を表明する地元や地域の信頼に値する名士や知識人を前もって複数の選挙人として指名しておき、選挙で候補者への支持を託す選挙人を選び、間接的に託された選挙人が大統領を選ぶという方法を採用したもの。選挙人が行う選挙によって、国家主権を有する州ごとに大統領候補の中から一人だけを選択することとなる。
(注2)ダコタ・アクセス・パイプライン建設プロジェクト:ノース・ダコタ州内油田から、サウス・ダコタ、アイオワ両州を貫けてイリノイ州までの全長約1,900キロメーターの地下埋設パイプライン建設計画で、総工費37億8千万ドル(約4,460億円)。2017年1月完成を目指していたが、ノース、サウス・ダコタとアイオワ州のアメリカ原住民が環境破壊等を理由に反対。8割方完成しているが、今年12月初め、オバマ政権がノース、サウス・ダコタ両州にまたがるオアへ貯水池通過を認めなかったため、別ルートにつき環境調査中。
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9月16日付米
『タイム』誌:「数万人の食糧供給不足で北朝鮮が危機的状況」
「●第二次大戦以降最悪の自然災害に見舞われた北朝鮮で、道路や橋が大洪水で流された北東部の奥地では、数万人分の食糧が供給困難な状況。
●人道支援で北朝鮮を訪問している国連世界食糧計画機関(WFP)の報道官は9月14日、14万人分の食糧を届けたが、今後更に追加の緊急物資の供給が必須とコメント。
●
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙報道では、10万人以上が家を失い、死者133人、行方不明者が数百人余り。
●なお、厳寒の冬の到来が近いため、際立った救助・支援ができないと状況は更に悪化する恐れ。」
同日付英
『ミラー・オンライン』:「核開発に数百万ドル費やしている北朝鮮が、大洪水被害のため国際社会に支援要請」
「●北朝鮮は、数百万ドル(数億円)もの資金を核兵器開発に注ぎ込んでいるにも拘らず、国際社会に対して、大洪水による被災地への食糧・緊急物資の支援を要請。
●国連人道問題調整事務所(OCHA)の9月12日発表では、8月末から9月初めの台風襲来で大洪水・土砂崩れが発生し、死者133人、行方不明者395人、喪失家屋3万5,500棟以上、避難者が10万7,000人に上る大災害。
●にも拘らず、奇異なことに北朝鮮政府は、9月9日実施の過去最大級の核実験の成功を祝って、9月13日に平壌(ピョンヤン)で大パレードを挙行。」
同日付中国
『チャイナ・ナショナル・ニュース』:「北朝鮮で発生の大洪水・土砂災害のため、国連が緊急物資支援」
「●世界保健機構(WHO)アジア地区代表は9月15日、北朝鮮の保健部(省に相当)の緊急要請に従って、アジア地域緊急基金から17万5,000ドル(約1,800万円)を拠出し、26万人・3ヵ月分の緊急物資を供給したと発表。
●またこの他、WFPも14万人分の食糧支援を実施。」
一方、同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「北朝
鮮外交部長、“新たな攻撃”仕掛ける用意があると発言」
「●北朝鮮外交部の李容浩(イー・ヨンホ)部長は9月15日、米国の挑発に対抗するため、“新たな攻撃”を仕掛ける用意ができていると言明。
●この発言は、米軍が9月13日、B-1B戦略爆撃機2機を韓国に展開したことを受けてのもの。
●なお、李部長は、カラカス(ベネズエラ)で開催の非同盟運動(NAM、注後記)諸国外相会議に出席中。」
(注)NAM:第二次世界大戦後の東西冷戦期以降に、東側西側のいずれの陣営にも公式には加盟していない諸国による国際組織。1961年に設立され、参加国は140ヵ国余り。NAM諸国首脳会議、同外相会議等を3~5年間隔で開催。
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