ドナルド・トランプ大統領は初のアジア歴訪時、巧みなトップ・セールスを敢行した。すなわち、日韓には米国製防衛装備品を、また、中国には米製航空機を大量に売りつけたからである。更に、同大統領は、中国において米大学リーグ開幕戦を行うために訪中していたカリフォルニア大ロス・アンゼルス分校(UCLA)のバスケットボール・チームの3選手が、万引き容疑で逮捕・拘束されているのを聞き及ぶや、習近平(シー・チンピン)国家主席に、特別な計らいを要請していたという。かかる事態こそ、習主席の旧知である駐中国テリー・ブランスタッド米国大使に任せればよいものを、同大統領自らが習主席に余計な借りを作るとは、ビジネスマンとしては優秀かも知れないが、一国の大統領としては外交戦略上疑問に感じられる。
11月14日付米
『ABCニュース』:「トランプ大統領、万引き容疑で拘束されているUCLAバスケットボール・チームの3選手について、習近平国家主席に特別な計らいを要請」
ドナルド・トランプ大統領は11月14日、マニラから離陸したばかりの大統領専用機内で、同大統領が習国家主席と11月12日に会談した際、先週に万引き容疑で逮捕・拘束されているUCLAバスケットボール・チームの3選手について、特別な計らいを依頼したことを明らかにした。
UCLAの新人3選手は11月7日、浙江省杭州(ハンチョウ、上海南西)のホテルに滞在中、万引きの現行犯で逮捕されていた。
同大統領は、中国の法律では長期に拘留される恐れがあるため、将来のある3選手を何とか助けたかったと説明した。更に、同大統領は、習主席はすぐさま然るべく対応すると言ってくれており、“(習氏は)素晴らしい”とべた褒めした。
同日付英『Yahooニュース英国版』(『AP通信』配信):「トランプ大統領、中国で拘留中のUCLA選手はまもなく帰国できようとコメント」
中国外交部(省に相当)の耿爽(ジェン・シュアン)報道官は11月13日、UCLAの3選手を万引きの容疑で拘束して取り調べ中であると発表した。同報道官はまた、中国国内法及び同法下の人権に配慮して対応していくと付言した。
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙報道では、3選手はコディ・ライリー、ジャレン・ヒル、リアンジェロ・ボール(プロ・バスケットボール・チームのロス・アンゼルス・レイカーズ新人選手ロンゾ・ボール選手の弟)であるという。
なお、スポーツ専門チャンネル『ESPN(ウォルト・ディズニー傘下)』が先週報じたところによれば、同3選手が杭州の高級ショッピングセンター内の3つの店で万引きする映像が残っているという。
同日付フランス『フランス24』オンラインニュース(『AFP通信』配信):「トランプ大統領、習国家主席に拘留中のUCLA選手を助けるよう要請」
『ワシントン・ポスト』紙報道によれば、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官も、トランプ大統領が中国滞在中に習国家主席に対して、拘留中のUCLA 3選手の取り扱いについて話題にしたことを認めた。
UCLAとジョージア技術大のバスケットボール・チームが、上海で開かれる米大学リーグ戦の開幕戦のために訪中していた。なお、11月11日の開幕戦では、逮捕・拘留中の3選手を欠いたUCLAチームが、63対60で辛勝している。
同チームに同行していた『ESPN』の記者によると、両大学の選手一行は11月12日に米国に向けて発ったが、拘留中の3選手は恐らく2週間ほど留めおかれるだろうという。
なお、『ワシントン・ポスト』紙は、米高官の話として、習主席が然るべく早急に対応すると約束したと報じている。
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2月4日付米
『AP通信』:「シアトル連邦地裁判事、入国禁止措置を定めたトランプ大統領令を全米で差し止め」
「●シアトル(ワシントン州)の連邦地裁のジェームズ・ロバート上級判事は2月3日、中東・アフリカ7ヵ国からの移民・避難民を一時的に入国禁止するドナルド・トランプ大統領が発令した大統領令について、一時的に差し止めるとの決定。
●同決定は、全米に適用されるとしており、同令を違憲として提訴したワシントン州のボブ・ファーガソン司法長官は、大統領も含めて、誰も憲法を超越したルールを決めることはできないとして、同決定を歓迎。...
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2月4日付米
『AP通信』:「シアトル連邦地裁判事、入国禁止措置を定めたトランプ大統領令を全米で差し止め」
「●シアトル(ワシントン州)の連邦地裁のジェームズ・ロバート上級判事は2月3日、中東・アフリカ7ヵ国からの移民・避難民を一時的に入国禁止するドナルド・トランプ大統領が発令した大統領令について、一時的に差し止めるとの決定。
●同決定は、全米に適用されるとしており、同令を違憲として提訴したワシントン州のボブ・ファーガソン司法長官は、大統領も含めて、誰も憲法を超越したルールを決めることはできないとして、同決定を歓迎。
●同決定による今後の対応について、米国土安全保障省は何もコメントしていないが、国務省では同決定が下される直前、大統領令によって当該7ヵ国の人たちが所有する米国入国ビザは無効となったと表明。
●同決定を受けて、米税関・国境警備局は航空会社に対して、大統領令発令以前のように、当該7ヵ国のビザ所有者の入国が可能になったと通知。
●一方、ホワイトハウスは2月3日夜、同決定を不服として、控訴する旨表明。」
2月3日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙:「ホワイトハウス、連邦地裁裁定は“悪意ある”裁定と非難」
「●ホワイトハウスは2月3日夜、当該大統領令は合法で適切なものと信じており、シアトル連邦地裁は“悪意ある”裁定を下したとして、可及的速やかに司法省に対抗手続きを取らせるとの声明を発表。
●なお、ホワイトハウスは後刻、“悪意ある”との修飾語を削った声明文を新たにリリース。」
2月4日付英
『ザ・サン』紙:「米連邦地裁判事、トランプ大統領の“イスラム教徒入国禁止措置”は世界を混乱に陥れるとして適用差し止め命令」
「●シアトル連邦地裁判定が下される前、国務省は、同大統領令によって7ヵ国の市民10万人の米入国ビザが無効となったとの報道を一部否定する形で、無効となったのは6万人弱の入国ビザだと発表。
●一方、ボストン(マサチューセッツ州)の連邦地裁判事は、同大統領令の一時的差し止め適用を認めず、また、バージニア州連邦地裁判事は、当該大統領令で入国禁止措置対象となる全員の名簿を提出するよう命令。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米司法省、入国禁止措置の大統領令適用差し止め命令について争う意向」
「●米司法省は、シアトル連邦地裁判事が下した、7ヵ国対象の入国禁止措置についての大統領令適用差し止め命令に対して、控訴裁で争う意向であると表明。」
同日付中国
『環球時報』(
『新華社通信』配信):「トランプ大統領の入国禁止措置の大統領令で数万人の入国ビザが無効化」
「●大統領令によって入国禁止措置を取られた2名のイエメン人の訴訟代理人である、米訴訟支援センター(バージニア州)のサイモン・サンドバル=モシェンバーグ弁護士が、当該大統領令で10万人の入国ビザが無効化されたと発表した旨、
『ワシントン・ポスト』紙が報道。
●これを受けてすぐさま米国務省は、当該大統領令で無効となるのは6万人の入国ビザだと発表。
●なお、先週の日曜日(1月29日)、同大統領令に抗議して、ホワイトハウス前、30以上の空港、そしてボストン、フィラデルフィア、アトランタ、ロス・アンゼルス、シアトル、シカゴなどの市街で、併せて数万人がデモ行進。」
一方、2月5日付米
『AP通信』:「連邦控訴審、トランプ政権の不服申し立てを不受理」
「●トランプ政権は2月4日夜、シアトルの連邦地裁決定は管轄権を逸脱していると不服申し立て。
●しかし、サンフランシスコの第9連邦控訴審は2月5日、同不服申し立てを受理しないことを決定したため、連邦地裁による入国禁止措置の一時的差し止め命令は引き続き有効。
●なお、トランプ大統領は、ジョージ・ブッシュ大統領(当時)に任命された、シアトル連邦地裁のロバート上級判事について、“愚かな判断”であり“きっと覆される”とツイート。」
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