イランは9日、人工衛星「ザファル」を打ち上げたが、軌道投入に失敗したと発表した。米国はイランの宇宙開発計画について、核弾頭を搭載する長距離弾道ミサイルの開発につながるとして批判を強めている。
『ロイター通信』『AFP通信』『AP通信』などの報道によれば、イランの衛星「ザファル(Zafar)」は自国の製造で、その名前はペルシャ語で「勝利」を意味する。同衛星の打ち上げは、革命記念日の11日に先立ち行われた。イランは軍事や核開発、宇宙開発上の技術的成果を通常この時期に発表している。
イラン国防省は、同衛星を現地時間9日午後7時15分に打ち上げ、高度540キロに達したが、最終段階でロケットが衛星を軌道に乗せるために必要な速度に達せず、軌道投入に失敗したと説明した。...
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『ロイター通信』『AFP通信』『AP通信』などの報道によれば、イランの衛星「ザファル(Zafar)」は自国の製造で、その名前はペルシャ語で「勝利」を意味する。同衛星の打ち上げは、革命記念日の11日に先立ち行われた。イランは軍事や核開発、宇宙開発上の技術的成果を通常この時期に発表している。
イラン国防省は、同衛星を現地時間9日午後7時15分に打ち上げ、高度540キロに達したが、最終段階でロケットが衛星を軌道に乗せるために必要な速度に達せず、軌道投入に失敗したと説明した。
アザリジャフロミ通信情報技術相は、打ち上げ失敗直後ツイッターでその事実を認め、「しかし、我々を止めることはできない。さらに偉大なイランの衛星を手に入れる。」と英語で決意を示し、さらに「良いニュースで皆さんを喜ばせたかったが、人生は思い通りに行かないこともある。」とペルシャ語で投稿した。
イランは2009年2月以降、衛星打ち上げに何度か成功し、サルなどの動物や虫を宇宙に送るなどしてきたが、昨年は少なくとも2回の打ち上げに失敗した。同国の宇宙開発をめぐり米国は、衛星を宇宙に運ぶロケットの発射は、核弾頭を乗せた弾道ミサイル技術の推進につながると懸念を表明しているが、イランはミサイル開発との関係を否定している。
イランが2019年1月に衛星を打ち上げた際に米国は、2015年のイラン核合意を踏まえた国連・安全保障理事会の決議に違反すると指摘した。安保理決議はイランに対し、核兵器の搭載能力のある弾道ミサイルに関連したいかなる活動も禁止している。イランは核兵器入手の意図はないとの立場を維持し、同国の衛星は災害対策などの平和利用のためのものであるとして、同決議に違反しないと主張した。
イランは9日、新しい短距離弾道ミサイルと、衛星を宇宙に送るために設計された「新世代」エンジンを公開した。エンジンには複合材を使用し、これまでの鋼鉄製より軽量化を図ったものや、衛星を軌道に乗せる可動式ノズルを装着したものなどがある。同国は、ミサイル開発計画は専ら防衛のためであると強調している。
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