ロシア英字紙
『モスクワタイムズ』によると、モスクワ地下鉄保安部長のキチギン氏はインテルファクス通信に対し、モスクワ地下鉄が顔認識支払いシステム「フェイス・ペイ」を導入する準備をしていることを明らかにした。「フェイス・ペイ」を使用するには、生体認証データを登録している銀行口座を持っている必要がある。乗客が改札口や切符売り場に設置されたカメラのいずれかに近づくと、運賃が自動的に口座から引き落とされ、改札口が開くシステムになっている。当局は12月からフェイスペイシステムのテストを始めており、テスト参加者はこれまでに2,000回改札を通過することに成功しているという。
モスクワ副市長のマキシム・リクストフ氏は、乗客がフェイスマスクを着用していてもフェイスペイシステムは機能すると述べている。
モスクワ市当局はすでに犯罪容疑者の特定のために、顔認識技術を使用した監視カメラの広大なネットワークを展開しており、活動家からの懸念の声も上がっている。昨年、モスクワでは、新型コロナウイルスの潜在的な菌保持者を追跡し、自主隔離してもらうよう、「セーフ・シティ」と呼ばれる顔認識監視プログラムを展開し、国際的な注目を集めた。
2月には、モスクワ市が地下鉄内の顔認識ネットワークを拡張するために1000万ドル(約10億円)以上を割り当てたと報じられている。
キチギン氏は、モスクワ地下鉄の顔認識カメラにより、過去6ヶ月間に900人以上の容疑者を警察が拘束するのに役立ったとも述べた。最近、収監された野党のアレクセイ・ナワリヌイ氏を支持して集団抗議デモに参加した数人も、顔認識カメラで認識された後、地下鉄の駅で拘留されたという。
『ロシア・トゥデイ』によると、ロシア日刊紙の「Kommersant」は2月に、モスクワ市当局が首都周辺の85の地下鉄駅に316のマルチメディア・スクリーンを設置し、それぞれにオートフォーカス対応のハイビジョンのCCTVカメラを搭載することを報じていた。
個人の安全が心配されている一方で、昨年夏にロシア人を対象にした調査では、国民の47%がこの制度を支持していることが明らかになったという。
同様の顔認証システムは、1000万人以上の人々が暮らす鄭州をはじめとする中国のいくつかの大都市ですでに導入されている。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は2019年に、わずか数ヶ月で20万人近くの通勤者がこの技術の使用を選択したことを明らかにした。顔認証は、テクノロジーの中心地である深センなど、中国の他の都市でも導入されている。
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米中央情報局(CIA)元局員のエドワード・スノーデン容疑者(37歳、注後記)は、米政府による情報収集活動を暴露したため米国から国際指名手配されている。2013年より、ウラジーミル・プーチン大統領の庇護の下で、ロシアに短期滞在(3年毎の滞在許可更新)しているが、この程、第一子が誕生することになったことから、ロシア入出国が自由になることを希望しロシア市民権を取得すべく具体的行動を起こしている。
11月2日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「エドワード・スノーデン、第一子誕生を契機にロシア市民権取得に奔走」
モスクワに滞在中のエドワード・スノーデンは昨年、自身の回顧録の中で、同地滞在では心が休まないと吐露している。
すなわち、世界的に著名となったことから、多くの住民がカメラを片手に彼に接触を試みたりするため、彼自身、街を歩く場合は変装したり、公共交通機関も自由に使えないからだと
いう。...
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11月2日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「エドワード・スノーデン、第一子誕生を契機にロシア市民権取得に奔走」
モスクワに滞在中のエドワード・スノーデンは昨年、自身の回顧録の中で、同地滞在では心が休まないと吐露している。
すなわち、世界的に著名となったことから、多くの住民がカメラを片手に彼に接触を試みたりするため、彼自身、街を歩く場合は変装したり、公共交通機関も自由に使えないからだと
いう。
しかし、11月2日に明らかにしたところによると、米人妻のリンゼイ・ミルズ(35歳、2017年に結婚)が妊娠していて近々第一子が誕生することになることから、安住の生活を求めてロシア政府に市民権授与の申請をしたという。
スノーデンは、米政府の情報活動を暴露したことから、世界トップランクの国際指名手配犯となっている。
彼はツイッターで、“(2013年以来)自身も妻も両親に会えていないため、これから生まれてくる子供(男の子)には同じ思いをさせたくない”と書いている。
彼のロシア人代理人アナトリィ・クチェリーナ弁護士(60歳)は11月2日、『インテルファクス通信』(1989年設立の非政府系通信社)のインタビューに答えて、“彼の第一子は、12月に誕生した時点でロシア市民権を取得できる”とコメントした。
スノーデン夫妻は現在、ウラジーミル・プーチン大統領の庇護の下でロシアに長期滞在しているが、同大統領にとっては、米政府が行っていた世界中の要人の盗聴行為を白日の下にさらしたスノーデンを英雄として扱い、対米対峙の駒に使ってきている。
但し、スノーデン自身、2013年からのロシア滞在中、ロシア情報機関のために一切働いたことはないとした上で、将来米国に晴れて帰国することを望んでいると語っていた。
そうした中、スノーデン夫妻は先月、ロシア政府から永住権を与えられたこと、及び妻が妊娠していて年末に第一子が誕生する予定であると明かした。
そこで直近のツイッターでスノーデンは、“ロシア市民権を得ることで、米市民権と併せて二つとなり、米ロ間のみならず、他国への移動・訪問が自由になることを希望している”とした上で、“いずれは愛する米国に帰国し、そこで息子を育て、また両親含めた家族皆で暮らせる日を心待ちにしている”と言及している。
現在夫妻はモスクワの賃貸アパートに暮らしていて、国際会議等に出席したりすることで生計を立てているという。
なお、スノーデンは今年9月、ドイツの『ディー・ツァイト』(1946年創刊の週刊全国紙)のインタビューにおいて、10年前にもし将来が見通せたらと質問されて、“(目下滞在している)ロシアは第一希望の場所ではなかった”と告白している。
11月3日付英国『ジ・インディペンデント』紙:「エドワード・スノーデン夫妻、息子誕生に先立ちロシア市民権申請」
スノーデンの妻であるリンゼイ・ミルズは先週、妊娠していて12月に第一子の男の子が誕生する予定であり旨インスタグラムで明かした。
スノーデンもツイッターで、“妻も自分も米国籍は放棄しておらず、そこでロシア市民権を取得した上で、ロシア入出国が自由にできるようにし、そして将来は愛する米国に戻って、そこで息子を育て、家族皆で暮らせることを望んでいる”と言及した。
米当局は、スノーデンを米機密情報窃盗及び漏洩の罪で国際指名手配していて、米国に戻り次第裁判にかける旨コメントしている。
しかし、スノーデンは昨年、自身が米国に帰国する場合、公平な裁判が保障される場合に限ると表明している。
(注)エドワード・スノーデン:2005~2013年、米国家安全保障局 (NSA) 及びCIAに所属した元局員。2013年初め、NSAで請負仕事をしていた米コンサルタント会社、ブーズ・アレン・ハミルトンのシステム分析官として、米連邦政府による情報収集活動に関与。同年6月、香港で複数の新聞社の取材やインタビューを受け、それまで陰謀論やフィクションで語られてきたNSAによる国際的監視網(PRISM)の実在を告発。同月下旬、米司法当局により香港政府に臨時逮捕と引き渡しの要請が出され、エクアドルなど第三国への亡命を検討しているとされていたが、同年8月にロシア移民局から期限付きの滞在許可証が発給されて以来、ロシアに滞在。なお、2014年1月、ノルウェーの元環境大臣からノーベル平和賞候補に推薦されている。
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