仏米メディア:急激な円安は日本の国際競争力の低下の印(2022/04/21)
20年ぶりの円安を更新した日本。フランスやアメリカのメディアは、長い間円安戦略を取ってきた日本が、今はその円安によって打撃を受けていると報道。
仏紙
『レゼコー』は、世界第3位の経済大国の成長は陰り、もはや輸出の強さに頼れず、コントロール不能となっている通貨安は日本にとって障害となりつつある、と報じている。先週、円が20年ぶりの安値を更新し、象徴的な1ドル=125円を突破した際、2022年末までに1ドル=130円まで下落する可能性があると予測された。しかし、その予測はもっと早く的中する可能性があるという。20日、ドルは数分の間129円に達し、ウクライナ戦争が始まって以来、日本の通貨の価値が12%失われた。...
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仏紙
『レゼコー』は、世界第3位の経済大国の成長は陰り、もはや輸出の強さに頼れず、コントロール不能となっている通貨安は日本にとって障害となりつつある、と報じている。先週、円が20年ぶりの安値を更新し、象徴的な1ドル=125円を突破した際、2022年末までに1ドル=130円まで下落する可能性があると予測された。しかし、その予測はもっと早く的中する可能性があるという。20日、ドルは数分の間129円に達し、ウクライナ戦争が始まって以来、日本の通貨の価値が12%失われた。
同紙は、円の急落に対して、日本当局や経済関係者がパニックに陥り始めていると指摘。日本の保守党政権は、何十年もの間、円安戦略を支持し、それが自国企業の輸出を促進すると確信していた。しかし、この理論は時代遅れであり、円安は日本経済にとって障害になっていることが証明されたと伝えている。仏紙『ルフィガロ』も、急激な円安は、2011年以降、貿易黒字を3回しか記録していない日本の国際競争力の低下を示すものであると報じている。
米『ABCニュース』は、日本政府が発表した貿易赤字が予想以上に大きく、その主な原因が原油や食料、その他の必需品の輸入コストが高騰しているためであり、日本国内でも円安に対する警戒感が強まっていると報じている。3月の赤字額は4124億円で、前月の6682億円を下回ったが、予想の4倍に達し、世界第3位の経済大国である日本が記録した前年の6150億円の黒字から一転して赤字となった。日銀は円安に歯止めをかけようとしており、日銀の膨大な外貨準備に頼って、ドルを売って円を買い上げる可能性がある。しかし、その種の介入には限界があり、どれほど効果があるかは不明だという。
米『ブルームバーグ』も、円安は日本の家計にとって物価上昇の痛みを悪化させていると伝えている。財務省が20日に発表したところによると、3月の日本の輸入は前年比31%増で、原油、石炭、天然ガスが牽引して過去最高額となった。これは、エネルギー資源を他国に大きく依存している日本では、電力料金の上昇につながるだろうと指摘。また、急激な通貨下落は輸入品をより高価にし、日本の家庭の痛みを増幅させるだろうと伝えている。こうした中、岸田首相は、数カ月後に迫った国政選挙を前に、物価上昇に対する国民の反発の声に耳を傾け、今月末、国民を助けるために追加の救済措置を発表する予定だ。しかし、『ブルームバーグ』は、米国の金利上昇と日本の超低金利が円安圧力に拍車をかけているため、日本政府は円安を止めるのに苦労していると伝えている。
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ISIS:ウクライナ戦争を利用してテロ攻撃を再開するよう呼びかけ(2022/04/20)
テロ組織「イスラム国」(ISIS)は、米国をはじめとする西側諸国がロシアのウクライナ侵攻に気を取られている間に、世界各地で新たな攻撃を開始するよう支持者に呼びかけている。
仏紙
『ルフィガロ』と英紙
『タイムズ』によると、ISISの新しい報道官であるアブ・オマル・アル・ムハジルは、非イスラム諸国がウクライナ戦争に気を取られている現在、西側諸国におけるテロ攻撃の絶好の「機会」であるとメッセージングアプリ「テレグラム」で述べた。ラマダンの期間にあわせて公開された音声メッセージで、「われわれは神に依り、祝福を受けた復讐を実行していく」と述べた。
2月3日、アメリカのバイデン米大統領は、ISISが支配するシリア北西部での米軍特殊部隊による作戦中に自爆したISIS前指導者アブ・イブラヒム・アル・ハシミ・アル・クラチの死亡を発表した。...
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仏紙
『ルフィガロ』と英紙
『タイムズ』によると、ISISの新しい報道官であるアブ・オマル・アル・ムハジルは、非イスラム諸国がウクライナ戦争に気を取られている現在、西側諸国におけるテロ攻撃の絶好の「機会」であるとメッセージングアプリ「テレグラム」で述べた。ラマダンの期間にあわせて公開された音声メッセージで、「われわれは神に依り、祝福を受けた復讐を実行していく」と述べた。
2月3日、アメリカのバイデン米大統領は、ISISが支配するシリア北西部での米軍特殊部隊による作戦中に自爆したISIS前指導者アブ・イブラヒム・アル・ハシミ・アル・クラチの死亡を発表した。3月10日、ISISは彼の死を、グループの前報道官の死とともに確認した。
ISISは3月17日、広報誌の一つに掲載された記事で、ウクライナ戦争を「十字軍同士の戦争」として歓迎しており、それは「キリスト教の悪党」の国々への「罰」となるだろうと述べていた。ISISは、2014年にイラクと隣国シリアで急成長し、広大な領土を征服したものの、2017年と2019年に相次いだ攻撃により、「カリフ制」を敷いていた領土で打ち負かされた。しかし、昨年発表された国連の報告書によると、ISISは「イラクとシリアで密かに組織を維持し、両国の国境の両側で持続的な反乱活動を行っている」という。イラクとシリアでは、「合計1万人の活動中の戦闘員」を保持していると言われている。アフガニスタンとパキスタンでもテロ攻撃を実行しており、アフリカでも関連グループが活動している。
今回のテロの呼びかけが、ヨーロッパにとって直接的な脅威となりうるのかどうかについて、仏ニュース専門チャンネル『フランス24』の記者で、イスラム過激派の専門家であるワシム・ナスル氏は、「我々は常に脅威を真剣に受け止めなければならないが、それを文脈化しなければならない。攻撃を行うよう呼びかけるというより、非難しているように聞こえる。」と分析している。ナスル氏また、ヨーロッパで実行された最後のテロ攻撃は2020年11月のウィーンでの攻撃にさかのぼり、現在は当時のような犯行グループの派遣など、活発な動きとは程遠い状態にあると指摘している。
英紙『タイムズ』によると、国際的な安全保障及び地政学的リスクのコンサルタント会社であるGlobalStratの代表取締役オリビエ・ギッタ氏も、ISISはここ数年ヨーロッパで大規模な攻撃を行っておらず、最近の攻撃はISISが組織化し積極的に促進したというより、同グループに影響されたものに過ぎないと述べている。こうした攻撃には、昨年10月の英保守党議員デイビッド・エイメス卿の刺殺事件も含まれる。裁判では、犯行者がISISのプロパガンダによって洗脳されたことが強調され、先週、終身刑が宣告された。
ギッタ氏は、「ISISは、信頼性を取り戻し、再び注目を集めるために、ヨーロッパと米国で攻撃を行う必要があると信じている。問題は、2015年のパリや2016年のブリュッセルのように、ヨーロッパで壮大な攻撃を実行するだけの兵站能力を持っているかどうかである。」と指摘している。
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