10年に一度実施されているイギリスの国勢調査によると、65歳以上の高齢者を含めて、人口の増加が過去最高となっている。また、人口の6人に1人が65歳以上で、10年前よりその割合が16%上昇しているという。
7月28日付英
『スカイニュース』:「国勢調査、過去10年で6.3%人口増」:
英国家統計局(ONS)による最新の国政調査によると、イングランドとウェールズの人口が10年で350万人以上増加、2021年5960万人に達し過去最高となった。
65歳以上の高齢者の数も過去最高となり、人口の18.6%を占めている。(2011年は16.4%)
65歳以上の高齢者の割合はウェールズで高く、21.3%、イングランドでは18.4%となっている。
最も人口増加が大きいのはイングランド東部。北アイルランドの国政調査によると、北アイルランドの人口も5%増加した。一方、人口が減少したのはロンドンだが、15~64歳の人口が最も多く、この年齢層が全体の70%を占める。
男女比をみると、2011年の国勢調査同様、女性の数が男性を上回っており、女性が51%で男性が49%となっている。2011年は女性50.8%に対し男性49.2%だった。世帯数も10年前より増加し2480万世帯となり、増加率は6.1%となった。
人口密度は1平方キロメートルあたり371人から395人に上がった。ロンドンで最も人口密度が高く、5598(人/km2)、これはイングランドやウェールズの平均の14倍となる。
ONSは、「一定地域の人口変動は、パンデミックによる居住地移動の影響が反映されている可能性がある」と指摘している。
同日付英『BBC』:「国政調査:イングランドとウェールズで人口が10年前より6%増加」:
前回の国政調査が行われた2011年と比べ、2021年の国政調査では、人口が350万人増加し、65歳以上の人口でも増加がみられ、国勢調査が開始された1801年以来、人口増加は最大となった。
国勢調査は国家統計局(ONS)により、10年に一度実施されている。社会の動向を調査するため、世帯ごとに質問に回答する形式でおこなわれており、結果は、交通、教育、医療などの公的サービス支援や政策立案に役立てられる。最新の調査は、入国制限やパンミック下にあった昨年3月に実施された。
これによると、6人に1人が65歳以上で、10年前よりその割合が16.4%上昇。90歳以上の割合は約0.9%で、10年前は0.8%だった。一方、15歳未満の人口は10年前より多いが、人口全体に占める割合は10年前の17.6%からやや減少傾向にある。
全体的に、最も人口増加の割合が大きいのが、イングランド東部で8.3%増。ウェールズは最も増加が小さく1.4%増、北東イングランドも1.9%の増加となった。2001年から2011年までの増加率は、予測より50万人少ない7.8%で、過去10年間で人口増加がやや鈍化したといえる。
2021年の国政調査データは、今後2年間をかけ段階的に人種や宗教などに関する統計が公表される予定だが、初めて、退役イギリス軍人の情報や、性的指向、ジェンダー自認についての調査結果も発表される見込みだという。
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豪州では、5月21日投開票の代議院議員(下院に相当)の総選挙の結果、9年振りに労働党が政権を奪取した。そこで、労働党政権下で友好関係を築いていた中国が、保守連合政権時代の両国間軋轢を忘れたかのように、新首相宛に秋波を送ってきた。しかし、ロシアのウクライナ軍事侵攻をみるまでもなく、豪州としては、中国も力による現状変更を推し進めていることを懸念して、まず中国側による一方的な豪州産品輸入規制の撤廃が絶対必要だとする強硬姿勢を示した。
5月24日付米
『AP通信』は、「豪州新政権、中国側に貿易障壁撤廃を要求」と題して、労働党新政権が、中国側からの友好関係復活要請に対してけんもほろろに対応した旨報じている。
豪州の労働党新政権は、中国側から出された、以前のように親密な関係を求めるとの要請に対して、まず一方的に設けた貿易障壁を撤廃することが先決だと対応した。
李克強首相(リー・クーチアン、66歳)は過日、総選挙に勝利を収めたアンソニー・アルバニージー新首相(59歳)に対して祝辞を送っていることから、中国が直近2年間豪州政府に科してきた禁止措置を緩和するとみられている。...
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5月24日付米
『AP通信』は、「豪州新政権、中国側に貿易障壁撤廃を要求」と題して、労働党新政権が、中国側からの友好関係復活要請に対してけんもほろろに対応した旨報じている。
豪州の労働党新政権は、中国側から出された、以前のように親密な関係を求めるとの要請に対して、まず一方的に設けた貿易障壁を撤廃することが先決だと対応した。
李克強首相(リー・クーチアン、66歳)は過日、総選挙に勝利を収めたアンソニー・アルバニージー新首相(59歳)に対して祝辞を送っていることから、中国が直近2年間豪州政府に科してきた禁止措置を緩和するとみられている。
李首相は、豪州との友好関係を発展させていく意向であると述べている。
しかし、アルバニージー新首相は、労働党が2013年に政権を失って以来、両国間関係を変更したのは中国側である、として反発した。
すなわち、同新首相は5月24日、東京で開催されたクワッド会議(注後記)後の記者会見の場で、直近数年間、中国は数十億ドル(数千億円)に相当する豪州輸出品である石炭・ワイン・大麦・牛肉・海産物に関し、公式あるいは非公式に不当な貿易障壁を設けている、と非難した。
同新首相は、“かかる貿易障壁を設けるのは全く理不尽だ”とし、“速やかに撤廃されるべきだ”とも付言した。
また、ジム・チャルマーズ新財務相(44歳)も、“中国側の不当な制裁で、豪州経済は大打撃を受けている”とし、自由貿易のパートナーとするなら、“速やかにかかる制裁が取り除かれることを要望する”と言及した。
一方、中国は5月24日、王毅外交部長(ワン・イー、68歳、外相に相当)が間もなく、ソロモン諸島、キリバス、サモア、フィジー、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア、東チモール訪問のために10日間の外遊に出発すると発表した。
そこで、豪州地元紙報道によると、ペニー・ウォン新外相(53歳)が急遽、日本でのクワッド首脳会議後に豪州に戻った翌日の5月26日、中国側による南太平洋島嶼国への影響力牽制のためにフィジーに飛んで対応を協議する意向であるという。
5月25日付豪州『NCAニュースワイア豪州』は、「アンソニー・アルバニージー新首相、クワッド会議で中国に警告」と題して、就任早々の新首相が、かつての労働党政権時代と同様の二国間友好関係を求めるなら、中国側が翻意することが前提だと強調したと報じている。
アルバニージー新首相は5月24日、中国が豪州との関係改善を望むというなら、対豪州貿易障壁を撤廃することが唯一の道だと強調した。
中豪両国間はここ数年、ギクシャクした関係が続いているが、就任早々の同新首相は、同日開かれたクワッド首脳会議の席上、全ての国と良好な関係を築いていきたいとしながらも、中国に対しては毅然とした対応を取ると明言した。
新首相は、“二国間の関係がギクシャクしているのは豪州の責任ではなく、中国側が不当な貿易障壁を設けていることが原因である”とした上で、“中国が即刻不当な制裁行為を止める必要がある”とも付言した。
なお、同新首相はクワッド会議の冒頭、中国の李首相から総選挙勝利を祝福するメッセージをもらったことを披露した上で、中国に対する姿勢を吐露したものである。
同日付豪州『スカイニュースTV』(1996年開局)は、「労働党政権、太平洋島嶼国での中国行動牽制のため即応」と、新外相が中国外交部長の南太平洋島嶼国訪問に合わせて、現地を急遽訪問することになったと報じた。
新労働党政権は5月26日、中国による南太平洋地域への影響力行使に対抗するため、担当閣僚を現地に電撃派遣することになった。
すなわち、ウォン新外相が日本での首脳会議から帰国後すぐさま、王外交部長の外遊初日に合わせる形で、急遽フィジーを訪問することになった。
(注)クワッド会議:2006年に当時の安倍晋三首相が、環太平洋における日本・米国・豪州・インドの四ヵ国の戦略対話を提唱。第2次以降の安倍政権で2017年に局長級会合、2019年に外相会談を開き、2021年3月に初めてオンライン形式での首脳協議が実現。同年9月、バイデン政権の呼び掛けで初の対面による四ヵ国首脳対話を実施。以降毎年の開催について合意。対中国牽制に重心を移すバイデン政権は、クワッドに中核的な役割を求めている。
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