米司法省、不当雇用差別容疑でスペースXを提訴【米メディア】(2023/08/25)
米司法省はこの程、スペースX(2002年設立の航空宇宙メーカー)が難民らに対して不当な雇用差別を行ってきたとして提訴している。
8月24日付
『AP通信』等は、スペースXが直近4年近く、難民らに対して不当な雇用差別を行ってきたことを理由に、米司法省が制裁金等の支払いを求めて提訴したと報じている。
米司法省が8月24日付けで、スペースXが直近4年近くの間、難民らに対して不当な雇用差別を行ってきたと告発した。
告発文書によると、同社が少なくとも2018年9月から2022年5月までの間、採用過程の複数の段階で、「輸出管理法(注後記)」に則り、応募可能者を米国籍やグリーンカード保有者(永住権保持者)に限るとすることで、不当に難民らの雇用機会を奪ってきたとする。...
全部読む
8月24日付
『AP通信』等は、スペースXが直近4年近く、難民らに対して不当な雇用差別を行ってきたことを理由に、米司法省が制裁金等の支払いを求めて提訴したと報じている。
米司法省が8月24日付けで、スペースXが直近4年近くの間、難民らに対して不当な雇用差別を行ってきたと告発した。
告発文書によると、同社が少なくとも2018年9月から2022年5月までの間、採用過程の複数の段階で、「輸出管理法(注後記)」に則り、応募可能者を米国籍やグリーンカード保有者(永住権保持者)に限るとすることで、不当に難民らの雇用機会を奪ってきたとする。
同省によると、当該法に上記のような制限は全く言及されておらず、同社が不当に差別を実施してきたという。
すなわち、当該法は、米国の安全保障や国際貿易を擁護するため、輸出管理対象とされた特定の技術・武器・情報・データ類を米国外の国に許可なく送ることや、また、それらを共有する対象を“米国人”に限るとも規定しているが、“米国人”とは、米国籍や永住権を有するもの、更には難民、亡命申請者も含まれるとしている。
同省は、これら差別された人たちの採用基準を見直す等要求してきたが、同社はこれを“不当に拒んだ”ことから、不利益を被ったこれらの人たちに“公平な賠償”を行う必要があるとして、制裁金等の支払いを求めて提訴したものである。
なお、同省は、同社創設者の米実業家イーロン・マスク氏(52歳)が、過去において差別的な投稿をツイッター(現“X”)上で行ってきたことも問題視している。
一方、同省は昨年、同様の不当な雇用対応を行ったとして、世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマート(1969年設立)、中古車販売大手のカーマックス(1993年設立)、金融持株会社キャピタル・ワン・フィナンシャル・コーポレーション(1994年設立)、及びスウェーデンの監視カメラメーカーの米子会社アクシス・アナリティクス(1984年設立)に対しても責任追及していたが、いずれも制裁金支払い等で決着している。
(注)輸出管理法:米国議会が2018年8月に制定した「2018年輸出管理改革法(ECRA)」に基づき、輸出管理の権限を与えられた米商務省が、同法で規定された基本的な輸出管理政策や方針を具体的に施行するため、「輸出管理規則(EAR)」に必要な改正を随時行い、様々な側面において輸出管理を強化した法律。
閉じる
五輪に不安、セーヌ川汚染でテスト大会中止(2023/08/21)
2024年のパリ五輪・パラリンピックでは、セーヌ川で複数の水泳競技が行われる予定だが、増水時の水質汚染が懸念されているという。
8月20日付独
『DW』:「セーヌ川の汚染でパリ五輪のテスト大会中止」
セーヌ川で許容値を超えるバクテリアが検出された。主催者が中止を余儀なくされた水泳大会は、今月3度目となる。
来年のパリ五輪で行われるトライアスロンの水泳競技のテスト大会が20日、セーヌ川の水質汚染により中止となったと発表された。検査サンプルからは基準値を超える大腸菌(E. coli)が検出された。
8月初旬には大雨による水質汚染により、オープンウオーターワールドカップが中止されており、19日にはパラトライアスロンのテスト大会が中止となっていた。...
全部読む
8月20日付独
『DW』:「セーヌ川の汚染でパリ五輪のテスト大会中止」
セーヌ川で許容値を超えるバクテリアが検出された。主催者が中止を余儀なくされた水泳大会は、今月3度目となる。
来年のパリ五輪で行われるトライアスロンの水泳競技のテスト大会が20日、セーヌ川の水質汚染により中止となったと発表された。検査サンプルからは基準値を超える大腸菌(E. coli)が検出された。
8月初旬には大雨による水質汚染により、オープンウオーターワールドカップが中止されており、19日にはパラトライアスロンのテスト大会が中止となっていた。
フランス当局は、来年7月26日から開催されるパリ五輪で屋外の水泳大会を開催できるよう、セーヌ川の景観改善に取り組んできた。これまで水害による汚染を減らす目的で水質管理プロジェクトに多額を投じており、水泳大会の変更案は用意されていないという。
同日付仏『フランス24』:「セーヌ川の大会再び中止、パリ五輪の計画に不安高まる」:
セーヌ川の水質汚染が酷く、週末に予定されていた2つの水泳大会が中止となった。パリ五輪を来年に控え、主催者はセーヌ川での水泳大会にプランBはないと強調する。
川の水から基準値を超える大腸菌が検出され、週末のパラトライアスロンと混合リレーの中止が決まった。2週間前には、2023世界水泳連盟オープンウォーター大会も水質汚染のため中止となっていた。それにもかかわらず、パリ五輪主催者は五輪でも水泳競技大会は開催可能だと主張している。緊急時対応として、水質が基準に満たない場合、大会を数日間延期することが譲歩案とされている。
セーヌ川への入水は1923年に禁止されたが、パリ市内の川では一部水泳をする人もいた。水質改善対策が復活したのが1990年、当時のパリ市長で後に大統領となったジャック・シラクは、「セーヌ川を再び泳げる川にする」と宣言したが実現しなかった。
セーヌ川での五輪、パラ水泳競技の開催計画は、パリ市議会でも注目の一大水質改善対策となった。現在、最も汚染リスクを高めるのは大雨で、大雨が降るとパリ市内の下水道が溢れセーヌ川に流れ込み、川が大腸菌や腸球菌で汚染されてしまう。
初夏に予定されていた水泳大会は、通常の4倍の降水量により中止された。7月末と8月初旬の異常気象に備え課題は多い。土曜と日曜に検出された高レベルのバクテリア量は今後精査が必要だ。
五輪主催者は、「近年政府と自治体による水質管理対策により多くの成果が得られ、セーヌ川への汚水流入も減少してきた。大雨による雨水を貯める大型地下貯水施設などの追加のインフラ建設も現在進行中である。選手の安全確保のため、毎時検査やラボ検査などの水質検査システムも導入予定となっている」とする。
トライアスロンが予定通り行われる場合、ルートはパリの名所を通るコースとなっている。選手らは、セーヌ川を泳ぎ、グラン・パレやアンヴァリッド広場など有名なスポットを二周。自転車とランニングルートでは、シャンゼリゼ通りやセーヌ河岸のオルセー美術館を通過する。先週平日に予定通り行われた大会では、水質への不安を示しながらも、その景観に魅了される選手も多かった。
閉じる
その他の最新記事