フィリピン大統領、麻薬犯罪者には厳しいが環境には優しく、大規模露天掘り非鉄鉱山開発差し止め措置を継続【米・フィリピンメディア】(2017/11/22)
フィリピンは世界最大のニッケル鉱石生産・輸出国である。そして、世界最大のニッケル鉱石需要国の中国は、その輸入量の8割以上をフィリピンに頼っている。しかし、親米から親中路線に舵を切ったロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、麻薬犯罪撲滅のために超法規的殺人をも許容しているにも拘らず、中国を袖にしてでも環境には優しい政策を進めようとしている。すなわち、今年4月に前環境天然資源相が打ち出した、大規模露天掘り非鉄鉱山開発差し止め措置を改めて支持・継続する旨表明した。
11月22日付米
『ロイター通信米国版』:「フィリピン、ドゥテルテ大統領が差し止め措置見直しの答申を拒否したため、露天掘り鉱山開発禁止措置が継続」
フィリピンのロイ・シマツ環境天然資源相は11月22日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の意向に基づき、新規露天掘り鉱山開発は引き続き禁止されると発表した。
新規露天掘り鉱山開発禁止措置については今年4月、レジーナ・ロペス前環境天然資源相が、新規露天掘り鉱山が環境破壊を引き起こす恐れがあるとして、大臣令(DAO)を発令していた。...
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11月22日付米
『ロイター通信米国版』:「フィリピン、ドゥテルテ大統領が差し止め措置見直しの答申を拒否したため、露天掘り鉱山開発禁止措置が継続」
フィリピンのロイ・シマツ環境天然資源相は11月22日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の意向に基づき、新規露天掘り鉱山開発は引き続き禁止されると発表した。
新規露天掘り鉱山開発禁止措置については今年4月、レジーナ・ロペス前環境天然資源相が、新規露天掘り鉱山が環境破壊を引き起こす恐れがあるとして、大臣令(DAO)を発令していた。このため、開発されればフィリピン最大規模となるフィリピン南部ミンダナオ島のタンパカン金銅鉱石露天掘り鉱山(総事業費59億ドル、6,610億円相当)も、開発が差し止められた。
ドゥテルテ大統領は11月21日晩、フィリピン鉱業審議会(MICC)の答申を拒否して、同DAOを継続するとコメントしていた。同大統領は、鉱山業からの収入より環境保全の方が重要だと語っている。
なお、シマツ大臣は、カルロス・ドミンゲス財務相とともに、MICCを仕切っていて、先月には同DAOの撤回を示唆していた。
同日付フィリピン『マニラ・タイムズ』紙:「ドゥテルテ大統領、露天掘り鉱山開発禁止措置は撤回しないと表明」
ドゥテルテ大統領は11月21日晩、鉱業からの700億ペソ(約1,560億円)の税収入よりも環境破壊リスク回避の方が重要だと述べた。
2012に設立されたMICCは今年10月、環境天然資源省のDAO撤回について理事の過半数が賛同していると表明していた。
なお、フィリピンにおける露天掘り鉱山開発は、1995年の新鉱業法が制定されて増産が図られた。露天掘り鉱山開発は国際的にも認められたものである。
しかし、ドゥテルテ大統領は今年9月にも、同DAOを発令したロペス前環境天然資源相の決定を支持するとして、後任のシマツ大臣にも露天掘り鉱山の閉山の見極めを指示したと語っていた。
(編注)ニッケル鉱石(ステンレス鋼・硬貨・充電式電池等の原料)の世界生産量は、①フィリピン、②カナダ、③ロシア、④豪州、⑤ニューカレドニア、⑥インドネシア(2014年1月からの非鉄鉱石禁輸政策により大幅落ち込み)。世界輸入量は、①中国(全体の過半数を占める大量輸入国)、②日本(中国の6分の1以下)、以降は極少量。
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米・英・フィリピン・中国メディア;トランプ大統領、中国に弱腰のASEAN議長国フィリピンのドゥテルテ大統領をホワイトハウスに招待(2017/05/02)
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、30周年を迎える首脳会議をマニラ(フィリピン)で開催した。議長国フィリピンのドゥテルテ大統領の意向を強く反映してか、最終的に採用された議長声明には、中国を名指しで非難する表現は削除され、代わって、南シナ海海上での行動を法的に規制する行動規範(COC)の枠組み作りに焦点を当て、ASEANと中国の関係は改善しているとの表現が加えられた。一方、トランプ大統領は、オバマ前大統領と犬猿の仲だったドゥテルテ大統領をホワイトハウスに招待し、新たな米比関係構築に向けた積極姿勢を示している。
4月30日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「トランプ大統領、何かと物議を醸すフィリピンのドゥテルテ大統領をホワイトハウスに招待」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が就任して以降、米比関係がギクシャクする中、ドナルド・トランプ大統領が4月29日、ドゥテルテ大統領と電話会談を行い、同大統領をホワイトハウスに招待することを決めた。
ドゥテルテ大統領が、麻薬撲滅政策の一環で非合法の容疑者殺人を許容したことに対して、特にバラク・オバマ前大統領が厳しく非難したことから、昨年9月の米比首脳会談が直前でキャンセルされる程、両首脳の関係が悪化していた。...
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4月30日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「トランプ大統領、何かと物議を醸すフィリピンのドゥテルテ大統領をホワイトハウスに招待」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が就任して以降、米比関係がギクシャクする中、ドナルド・トランプ大統領が4月29日、ドゥテルテ大統領と電話会談を行い、同大統領をホワイトハウスに招待することを決めた。
ドゥテルテ大統領が、麻薬撲滅政策の一環で非合法の容疑者殺人を許容したことに対して、特にバラク・オバマ前大統領が厳しく非難したことから、昨年9月の米比首脳会談が直前でキャンセルされる程、両首脳の関係が悪化していた。
しかし、ホワイトハウスは、トランプ大統領が今年11月にフィリピンで開催される東アジアサミット及び米・ASEAN首脳会議に出席することを決めている等、米比関係改善に前向きであると表明した。
なお、人権問題監視団体が、人権蹂躙問題を抱えるドゥテルテ大統領をホワイトハウスに招待することを非難したことに対して、ラインス・プリーバス首席補佐官は4月30日、トランプ大統領が人権問題を軽視しているということではなく、現在最も重大な北朝鮮問題に対応していくため、アジア諸国に理解者を増やすことを優先していく方針である旨反論している。
同日付英
『メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「ASEAN、南シナ海問題で“協力体制は改善している”として中国を評価する対応」
4月29日に閉幕したASEANサミットの議長声明で、中国の人工島建設や軍事拠点化について直接非難する表現は避け、代わって、中国とASEANの関係は改善していると言及された。対中国友好政策を推し進めようとしている、議長国フィリピンのドゥテルテ大統領の意向が大きく反映されたものとみられる。
5月1日付フィリピン
『マニラ・タイムズ』紙:「ASEAN、議長声明を変更して(中国の)人工島建設問題言及を取り止め」
ASEANサミット閉幕後の4月30日に公開された議長声明では、昨年のカンボジア会議で言及された“人工島建設及び軍事拠点化についての懸念”(ベトナム主張により挿入)との表現、また、“国際法上の取り決め及び外交上のプロセスを尊重”との言及もなされなかった。
更に、ドゥテルテ大統領の意向を反映し、米朝間で緊張が高まる朝鮮半島問題について、両国が自制するよう強く求めるとの表現が含まれている。
一方、4月30日付中国
『新華社通信』:「第30回ASEANサミット、地域統合のモデル及び世界に誇れる連携組織を目指して一致団結」
今年で創設30周年を迎えるASEANサミットは4月29日、人とのつながりを中心として、地域の平和と安定を維持し、そして改革優先の発展を目指す組織として、地域統合のモデル及び世界に誇れる連携組織となるべく、一致団結していくことで合意した。
特に、世界経済の停滞や、一部で現出している保護主義に対抗するべく、地域経済にとって非常に理想的かつ有効な“域内包括的経済連携(RCEP、注後記)”構築に向けて努力する旨言及された。
また、ASEAN議長声明では、中国との関係改善に触れた上で、ASEAN・中国間で協議を進めるCOCの枠組みを、2017年半ばまでにまとめるべく努めることが記された。
(注)RCEP:ASEAN加盟10ヵ国に、日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドの6ヵ国を加えた計16ヵ国で、自由貿易協定構築を進める構想。
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