韓国の民主化運動を主導した金泳三元大統領が死去(2015/11/24)
韓国の金泳三(キム・ヨンサム)元大統領が22日、87歳でソウル市内の病院で死去した。金泳三氏は、軍部による独裁政治のもとで民主化運動に取り組み、クーデターによる政権転覆が繰り返されていた韓国に、平和的な政権移譲の礎を築いた人物として知られている。また、金泳三氏は軍部政権時代の悪弊を排除することに努めるとともに、政治の腐敗防止にも積極的に取り組んだ。
一方、大統領の任期切れ直前に発生したアジア通貨危機が韓国経済に波及し、起亜自動車の倒産を皮切りに企業倒産が相次ぐなど経済状態が悪化した。このため、国際通貨基金(IMF)の緊急援助を受け危機を乗り切ったが、金泳三政権の経済政策の失敗が原因であるとして批判された。海外メディアは、同氏の逝去とその功績を報じている。
11月22日付
『KBSワールドニュース』は、第14代韓国大統領を務め、長く続いた軍事独裁政治に終止符を打った金泳三氏が、21日ソウル市内の病院で敗血症と心不全により死去したと報じた。政府は国葬とすることおよび5日間を服喪期間とすることを決定し、黄教安国務総理が葬儀委員長に任命された。同氏の 国葬は26日14時に国会で営まれ、その後ソウル国営墓地に埋葬される。ASEANプラス3首脳会議に出席中の朴槿恵大統領は深い哀悼の意を表わした。...
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11月22日付
『KBSワールドニュース』は、第14代韓国大統領を務め、長く続いた軍事独裁政治に終止符を打った金泳三氏が、21日ソウル市内の病院で敗血症と心不全により死去したと報じた。政府は国葬とすることおよび5日間を服喪期間とすることを決定し、黄教安国務総理が葬儀委員長に任命された。同氏の 国葬は26日14時に国会で営まれ、その後ソウル国営墓地に埋葬される。ASEANプラス3首脳会議に出席中の朴槿恵大統領は深い哀悼の意を表わした。金泳三氏は1993年から1998年まで大統領を務め、民主化運動を指導し、軍事独裁政治を強く批判した。同氏の大統領就任によって、平和的に政権交代をおこなう基盤が確立したと報じている。
11月22日付
『ワシントンポスト』紙は「AP」電として、軍事独裁政権に終止符を打ち、1997~1998年の経済危機で国際緊急援助を受け容れたことで知られる、金泳三元韓国大統領が87歳死去したと報じた。金泳三氏は30年以上にわたって民主主義を訴え続け、1980年代初めには2度も自宅軟禁されているが、その後軍部指導者の盧泰愚氏と手を組み新政党を立ち上げ、大統領まで登りつめた。
金泳三氏は1993年から1998年まで韓国大統領を務めたが、民主化運動推進の重要人物であり軍部独裁政治に反対した。同氏はそれまで繰り返された軍事クーデターに依らない、平和的政権交代の礎を築いた。大統領任期中に、クーデターによる反逆罪で前任大統領である全斗煥氏と盧泰愚氏の2人を告発したが、その後赦免した。また、腐敗撲滅キャンペーンを推進し、政治資金裏金を一切受け取らないことを誓約した。しかし、後に息子が賄賂と脱税の罪で逮捕され評価を落とすことになった。
1994年、クリントン政権が北朝鮮の寧辺核施設への攻撃を検討したとき、金泳三氏は戦争に発展することを恐れ反対運動を展開した。同氏の回想によると、米政府は空母を韓国の東海岸に展開し空爆の準備をおこなうとともに、米国人の緊急救出計画を立てていた。金泳三氏はクリントン大統領に電話をして、米国が核施設を攻撃すれば、北朝鮮は即座に韓国の主要都市への攻撃を開始すると訴えたと述懐している。その後、カーター大統領が平壌で金日成主席と会談し、北朝鮮の核開発を凍結させることで合意に達したことで、戦争の危機は解消された。
一方、アジアの金融危機により韓国の財閥企業の一部が倒産するなど韓国経済が行き詰まり、IMFから580億ドルの緊急融資を受け容れることになったが、金泳三政権の経済政策の失敗によるものであると批判されている。
11月21日付
『BBCニュース』は、韓国の民主化運動の偶像的存在であった、金泳三元韓国大統領が死去したと報じた。報道内容は、「AP」配信を引用しており、「ワシントンポスト」紙の内容の範囲内である。
11月22日付
『人民日報オンライン』は、金泳三元韓国大統領が88歳で逝去したことおよびその経歴を簡潔に報道している。
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世界が見るTPP交渉妥結(2015/10/06)
米国、アトランタで開かれていたTPP環太平洋パートナーシップ協定閣僚会議でTPP交渉は参加12か国によって大筋で合意し妥結した。この大筋合意という言葉が曲者だが、すでに今まで消極的だった韓国などもTPP参加に意欲を見せ始めているなど5年半にわたったTPP協議は新しい局面を迎えている。各国はTPP交渉妥結について以下のように報じた(一部
『NHKBSワールドニュース』を参照した)。
10月6日付
『BBC』(英国)は「中国のような国に世界経済のルールを作らせるわけにはいかない。米国のための新たな市場を開くために我々自身がルールを作るべきだ」とのオバマ大統領の声明を紹介し「TPPの合意に関与していない中国が将来的にTPPの基準を受け入れざるをえなくなることをオバマ大統領は期待している」と報じた。
10月6日付
『AP通信』(米国)は「(今回のTPP妥結で)同じ価値観を共有する国の間で経済ルールを確立することができる。...
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10月6日付
『BBC』(英国)は「中国のような国に世界経済のルールを作らせるわけにはいかない。米国のための新たな市場を開くために我々自身がルールを作るべきだ」とのオバマ大統領の声明を紹介し「TPPの合意に関与していない中国が将来的にTPPの基準を受け入れざるをえなくなることをオバマ大統領は期待している」と報じた。
10月6日付
『AP通信』(米国)は「(今回のTPP妥結で)同じ価値観を共有する国の間で経済ルールを確立することができる。もしも中国が将来TPPに加わるのならば、日本の国家安全保障だけでなくアジア太平洋地域にとっても大いに寄与するものになるだろう」との中国を念頭にした安倍首相の発言を紹介した。
10月6日付
『CNN』(米国)は「TPPは最終的に妥結したが、民主党や労働組合は“TPPは米国の企業が簡単に海外に拠点を移すことにつながり、結果的に米国の労働者が路頭に迷わせるものだ”として反対しており、TPPは2016年の大統領選挙で主要な議題となるだろう」と報じ、「TPPのようなひどい契約を締結した現オバマ政権の無能さは理解を超えている」との共和党大統領候補のドナルドトランプの発言を紹介した。
10月6日付
『KBS』(韓国)は「米国が主導し日本が参加するTPP環太平洋パートナーシップ協定は世界最大規模の多国間自由貿易協定で、事実上、米国と日本が主導する経済安保同盟の性格が大きい」と報じた上で「韓国はこれまで中国とのFTAに重点を置いていたため、TPPには消極的だと言われていたが、韓国政府はTPPへの参加を積極的に検討する方針だ」と伝えた。
10月6日付
『TVE』(スペイン)は「5年間の交渉の末、TPP環太平洋パートナーシップ協定が遂に合意した。参加12か国全体で世界の国内総生産GDPの40%を占めている」と報じた。
10月6日付
『AFP通信』(フランス)は「グローバル経済に対する懸念は根強くあるものの、TPPは米国と日本との間の大きなビジネスチャンスになるような多くの可能性に満ちあふれている」とのSMBCフレンド証券チーフストラテジストの松野利彦氏のコメントを紹介した。
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