海外メディア;いよいよ福島原発処理水海洋放出策のIAEA調査団が訪日、と報道(2022/02/09)
日本政府は2月7日、懸案となっていた福島原発処理水の海洋放出策について、国際原子力委員会(IAEA、注後記)の調査団が来週来日すると発表した。海外メディアも、関心を持って報道している。
2月8日付米
『AP通信』:「専門家調査団、福島原発処理水の海洋放出策調査のため訪日」
IAEAの科学者で編成された調査団が来週訪日して、福島原発で保管された100万トン余りの処理水(AP通信の表現)を海洋放出する政策について調査する。
約15人から成る調査団は、日本政府及び東京電力関係者と面談する他、福島原発も実際訪問して、日本政府が表明している海洋放出策の安全性について厳密な調査を行う。...
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2月8日付米
『AP通信』:「専門家調査団、福島原発処理水の海洋放出策調査のため訪日」
IAEAの科学者で編成された調査団が来週訪日して、福島原発で保管された100万トン余りの処理水(AP通信の表現)を海洋放出する政策について調査する。
約15人から成る調査団は、日本政府及び東京電力関係者と面談する他、福島原発も実際訪問して、日本政府が表明している海洋放出策の安全性について厳密な調査を行う。
日本政府と東京電力は昨年、福島原発に保管された処理水を、希釈した上で海洋放出するとする計画を発表していた。
原発内の降水等をタンクに入れて保管してきたが、今年末には保管限度の137万トンに達するとされていて、同原発の数十年にわたる廃炉処理を促進するためにも、同処理水の措置が懸案となっていた。
当該計画は、地元漁協や住民のみならず、近隣の中国・韓国も激しく反対していた。
これに対して日本政府は、IAEAの調査によって、当該放出が国際安全基準を満たしていることを証明してもらい、他国の理解を得ようとしている。
関係省庁高官によれば、処理水に含まれる全ての元素について、基準を下回る安全レベルまで希釈した上で放出するとしていて、ただ、取り切れないトリチウムが残ってしまうが、少量であれば安全性に問題はないことが分かっていると強調している。
IAEAは当初、昨年12月に調査団を派遣する予定であったが、折からのオミクロン株蔓延再発で延期し、この程今回の派遣について日本側と合意したものである。
なお、6人の住民が、子供時代に原発事故に遭って、それが原因で甲状腺ガンを発症したとして、東京電力に対して損害賠償請求を行い提訴している。
また、日本の首相経験者5人が1月27日、共同で欧州委員会(EC、1967年設立、欧州連合の政策執行機関)に対して、原発事故によって甲状腺ガン発症が促進されていること等を理由として、ECが採択した「原発が環境問題のない持続性のある経済的発電源」とする決議を撤回するよう嘆願書を提出した。
これらに対して、政府関係者は、原発事故と甲状腺ガン発症の因果関係は認められていないとした上で、首相経験者が「誤った情報と偏見に満ちた考え」を広めようとしているとして非難している。
2月7日付韓国『聯合ニュース』:「韓国人科学者、IAEA調査団による福島原発調査に参加」
韓国政府は2月7日、IAEAが福島原発の汚染水(聯合ニュース表現)の海洋放出策の安全性を調査する調査団には、韓国人科学者も同行すると発表した。
日本外務省の発表では、同調査団はIAEA原子力安全・核セキュリティ局のグスタボ・カルーソ調整官が率い、2月14~18日の間、現地調査を行って当該策の安全性等について調査するという。
2月8日付中国『CGTN(国際ニュース放送チャンネル)』:「IAEA、日本が計画する汚染水の海洋放出策について安全性調査のため訪日」
IAEAのラファエル・グロッシ事務局長(60歳、2019年就任、前アルゼンチン国際機関大使)は2月7日、日本による福島原発保管の汚染水(CGTN表現)の海洋放出策について、安全性等を詳細調査するため、2月14~18日の間に調査団を訪日させると発表した。
同事務局長は、信用でき、かつ科学的根拠の基づいた調査を行い、透明性のある調査報告書をまとめ上げて日本及び多くの関係国に報告する、と付言した。
(注)IAEA:国連の保護下にある自治機関で1957年設立。原子力の平和的利用の促進、及び原子力の軍事利用(核兵器開発)の防止が目的。本部はウィーン(オーストリア)。
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中国政府、かつて称賛していたウィグル族説話の教科書編集に携わったウィグル人に極刑【米メディア】(2022/02/03)
既報どおり、習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)が、何が何でも成功裏に終わらせようと目論んでいる北京冬季大会の開会式を迎え、西側諸国からの人権問題への非難を遠ざけようとあらゆる手段を駆使している。しかし、内実では、中国政府によるウィグル族等への締め付けが極端に厳しくなっており、この程米メディアのスクープ記事によると、かつて毛沢東国家主席(マオ・ツォートン、1893~1976年)が称賛していたウィグル族説話について、現習政権はウィグル族暴動を惹起した問題教科書と断罪し、関係したウィグル人に極刑を科していたことが判明した。
2月1日付
『AP通信』:「中国政府、ウィグル族説話教科書をかつては認可していたものの今は編集者に極刑」
中国共産党政府は近年、ウィグル族への取り締まりを強化してきているが、その一環で昨年、かつては同政府が認可していたウィグル族に関わる抵抗運動の説話を教科書に編集したウィグル人に対して、1人に死刑、他3人に終身刑を科した。
『AP通信』が、中国国営メディアのドキュメント報道を再調査し、同教科書編集に関わった人たちへのインタビューを試みた結果、1949年の中国建国を宣言した毛沢東国家主席が称賛した、1940年代のウィグル族抵抗運動を扱った2つの説話教科書について、中国共産党政府が解釈を翻し、壊滅的な結果をもたらす悪本と批評した上で、ウィグル人学生らにも同教科書を閲覧できないようにして、ウィグル族の歴史に触れる機会を奪っていたことが分かった。...
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2月1日付
『AP通信』:「中国政府、ウィグル族説話教科書をかつては認可していたものの今は編集者に極刑」
中国共産党政府は近年、ウィグル族への取り締まりを強化してきているが、その一環で昨年、かつては同政府が認可していたウィグル族に関わる抵抗運動の説話を教科書に編集したウィグル人に対して、1人に死刑、他3人に終身刑を科した。
『AP通信』が、中国国営メディアのドキュメント報道を再調査し、同教科書編集に関わった人たちへのインタビューを試みた結果、1949年の中国建国を宣言した毛沢東国家主席が称賛した、1940年代のウィグル族抵抗運動を扱った2つの説話教科書について、中国共産党政府が解釈を翻し、壊滅的な結果をもたらす悪本と批評した上で、ウィグル人学生らにも同教科書を閲覧できないようにして、ウィグル族の歴史に触れる機会を奪っていたことが分かった。
すなわち、1940年代後半に、中国共産党が国民党政権と内戦を繰り返していた際、ウィグル族が国民党政権による弾圧や差別政策に抵抗して武装蜂起していた。
そこで、1949年に国民党政権打倒を成し遂げた毛氏が、ウィグル族のリーダーであるアクメトジャン・カスィミ(1914~1949年、東トルキスタン共和国指導者)を国家諮問会議初会合に招待するとし、“カスィミ同志の何年もの抵抗運動は、中国人民による民主革命運動の一部である”と賛辞を送っていた。
ただ、カスィミは同会合に赴く途中、搭乗した飛行機の墜落事故で絶命している。
従って、当時のウィグル族の活動の歴史を綴った本は中国共産党政府も評価していた訳である。
ところが、新疆ウィグル自治区元教育部長(2000~2008年)のウィグル人政治家サッター・サウット(現在73歳)が、2009年ウィグル騒乱(注後記)を引き起こしたイスラム過激主義者らを扱った教科書を編集し、その中で憎悪、暴力、宗教的過激主義を説いていたことから、2017年に当局によって逮捕された。
そして昨年4月に現地裁判所は、サウットが同教科書を編集する分断主義グループを主導したとして、死刑判決を下した。
中国国営国際ニュースチャンネル『CGTN(1997年設立、中国中央テレビ傘下)』が昨年、10分間のドキュメント番組「新疆ウィグル自治区の隠された脅威」の中で、当該説話教科書を危険読本と言及していた。
また同番組の中で、テレビカメラの前でサウットが謀議を告白する場面が放映されていた。
サウットと一緒に画面に登場した、教育部の高官であったアリムジャン・メムティミンには終身刑が科せられた。
かつて新疆ウィグル自治区で収容所に入れられ、その後米国に逃れているミフリグル・トゥルサン氏(32歳)は、“ウィグル族の武装蜂起をかつての中国政府は称賛していたのに、現在の政府は、その歴史的説話を掲載した教科書を禁書扱いにして、関わった人たちを処罰していることに愕然としている”とコメントしている。
なお、メリーランド大(1856年設立、州立大学)の中国の二言語同時教育制度研究専門家の周明朗教授(チョウ・ミンラン)は、2009年ウィグル騒乱以降、特に中国共産党政府の新疆ウィグル自治区における中国語教育指導がより厳しくなっていると述べた。
その上で同教授は、習国家主席が、“多様性は国家統一にとって脅威となると判断”しているため、前任者たちが促進した“多様性を許容した国家統一”という考えを捨て、漢族による国家統一を目指していると分析している。
(注)2009年ウィグル騒乱:2009年7月5日に、新疆ウィグル自治区ウルムチ市において発生した騒乱事件。同年6月に広東省で、デマを発端として玩具工場のウィグル人労働者が漢族労働者の襲撃により死亡したことについて、襲撃側の刑事処分が曖昧にされたことからウィグルでの不満が高まって大規模デモに発展したもの。死者192人、負傷者1,721人。
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